近年よく耳にすることが多くなってきた「医学部再受験」
長年受験勉強から離れていたにもかかわらず医学部に合格を目指す医学部再受験は、非常に厳しい道程であると言う話もあります。
また、医学部再受験に合格できずに失敗して医師になれなかった後のキャリアのこと考えるとなかなか長い期間をかけて再受験に挑戦するわけには行かないといった方も多いでしょう。
したがって、本記事では医学部再受験を一年で達成することは可能なのかということに焦点をおいて、解説していきたいと思います。
医学部再受験生は一年で合格できるか
まずは、医学部再受験生が一年で合格することができるのかということですが、結論から言うと、一年で医学部再受験を成功させて合格することはかなり厳しいものとなります。
どれだけ重きをおいていたかに個人差はあれど、日頃から定期テストや模試のために勉強をしていた現役の受験生や卒業したての浪人生ですら、受験勉強を高3から始めて一年間で医学部設置大学に合格することは非常に難しいです。
したがって、医学部再受験生が一年で合格することがどれだけ困難なものかということは火を見るよりも明らかです。
医学部再受験生が一年で合格することが難しいのは、主に以下の理由によります。
- 時間が圧倒的に不足している
- 加齢による脳の衰えは避けることができない
- 先駆者が少ない
時間が圧倒的に不足している
この、時間が圧倒的に足りないということが医学部再受験を一年で成功させるのに最も大きな障壁です。
医学部再受験生は、受験勉強から久しく離れていたということもあり、各科目を基礎から勉強する必要があります。
場合によっては、中学生の内容から復習する必要もあるでしょう。
一年間と聞くと、最初はたくさん時間があるように感じるかもしれませんが、例えば国立医学部を受験するとして、対策する必要があるのは、英語・国語・数学・理科二科目・社会の合計六科目になります。
一年は365日ですから、1教科に割くことのできる時間は単純計算で365÷6で約60日となります。
たったの60日で特定の教科を医学部再受験で合格できるレベルに持っていくことがどれだけ難しいかは想像がつくでしょう。
これだけのことを一年間で行うというのはかなり無理があるのです。
加齢による脳の衰えは避けることができない
また、医学部再受験生が苦労するポイントとして、年齢を重ねたことによる脳の衰えを想定しておらず、自分の想像と現実のギャップに苦しむということがあります。
若い頃は簡単に思い出せたことが、年をとった今ではなかなか思い出せなかったり、本を読んでいても集中力が続かないなんてことが皆さんにも経験があるのではないでしょうか。
したがって、自分が高校生だった頃の経験をもとに医学部再受験に成功できるのではないかと考えてしまっている人は、一度週末などを利用してどれだけ自分の脳が衰えているかを実感してみるのが良いでしょう。
高校生の勉強は若さに身を任せた「質より量」の勉強でなんとかなったかもしれませんが、年齢を重ねた今では「量より質」ということを意識していく必要があります。
先駆者が少ない
先駆者、すなわち医学部再受験に挑んで成功させた人が圧倒的に少ないという点も医学部再受験の難しさを増幅させています。
先例が多ければそのやり方を模倣してやっていくことでうまくいくということが多いですが、参考になるような先例が少なく、勉強方法が確立していない場合独自で試行錯誤しながら便居を進めていく必要があります。
個人ブログなどはあるかもしれませんが、その方法は一般化されたものではなくその個人にあったものなので参考になるとは言い難いです。
純粋に勉強だけしていればよいというわけではなく、自分で考えながら勉強するとなると、苦労も大きくなるのです。
成功させるには志望校選びが重要
上の項では、医学部再受験を一年間で成功させることがいかに難しいかというお話をしましたが、それでも医学部再受験に挑戦するのであれば、少しでも合格の確率を上げるために志望大学を選ぶ段階というものが非常に重要となってきます。
医学部再受験生でも合格しやすいか(寛容度)
そんな志望校選びで最も重要な要素となってくるのは、その医学部設置大学は医学部再受験生でも合格しやすいのかという点です。
すなわち、その医学部が年齢に寛容なのかという点に注意する必要があります。
学力さえ足りていれば合格はできるのではないかと思う方も多いのではないかと思いますが、やはり年齢差別というものがまったくないというわけではないでしょう。
したがって、この点をしっかり考慮しておかないと受験が終わってから公開するはめになるかもしれません。
例として、医学部再受験生に寛容であると考えられる国立の医学部設置大学をあげておきます。
実際に自分でもこれらの大学の年齢別合格者数を見てみると、これらの大学が医学部再受験生に寛容であることがわかるのではないかと思います。
- 滋賀医科大学
- 香川大学
- 山梨大学
- 新潟大学
- 信州大学
- 岐阜大学
- 名古屋市立大学
- 三重大学
- 奈良大学
- 東京大学
- 滋賀大学
- 大阪公立大学
- 岡山大学
- 島根大学
- 香川大学
- 熊本大学
- 琉球大学
入試科目の少ない私立も目指す
上記では、医学部再受験生に寛容であると考えられる国立大学を例として挙げましたが、医学部再受験生の選択肢としては入試科目が少ない私立の医学部設置大学を目指すということもあります。
私立大学は国立大学医学部に比して偏差値が低い傾向にあり、また国立大学医学部と異なり共通テストを受験する必要がないので、社会や国語の対策をしなくて良い場合が多いです。
したがって、少しでも合格の確率を挙げたいという方は私立大学医学部を選択肢に入れると良いでしょう。
ただし、私立大学は国立大学に比べて学費が圧倒的に高いという欠点があります。
一般的に国立大学医学部では標準額が基準となっていて、その基準では入学金が282,000円、授業料が一年間に535,800円ということになっています。
したがってこれらから6年間でかかる学費を計算してみると、おおよそ約350万円と言われています。
一方で私立大学医学部にかかる学費についてですが、上の計算で算出されたように国立大学はほとんどすべての大学で350万円であったのに対して、私立大学で最も学費が安いと言われている国際医療福祉大学ですら6年間にかかる学費が1,850万円となっていて、国立大学の5倍以上となっています。
この学費がネックにならない場合は私立大学を検討してみましょう。
医学部再受験一年間の勉強計画
医学部再受験を一年で成功させて、合格を果たすためにはどのような計画で勉強を勧めていけばよいのかについて、簡単に時期ごとに解説していきます。
大まかな計画としては、
- 基礎固め:4−6月
- 問題演習:7−8月
- 応用問題演習:9−10月
- 過去問演習:11−2月
といった感じで進めていくと良いでしょう。
基礎固め:4−6月
まずは、3ヶ月かけて英語・数学・理科の基礎がためをしていきます。
この期間をおろそかにして基礎がおざなりになってしまうと、後々かなり後悔するはめになってしまうので、基礎は簡単だからとバカにしてはいけません。
また、受験勉強からしばらく離れていることにより鈍ってしまった勉強の勘を取り戻していく期間でもあります。
教科書レベルの簡単な参考書を読んで、理数系科目(数学・理科)は考え方を、英語は基礎的な文法事項や単語を頭に詰め込みましょう。
問題演習:7−8月
3ヶ月かけて基礎固めができたら、次はアウトプットの訓練になります。
まずは簡単な問題集で、しっかりと今までの知識を用いる練習をしていきましょう。
数学であれば青チャート、化学であればリードアルファくらいのレベルを解いていくのが良いでしょう。
ここでは、自分が今までインプットしてきた知識を他社に説明するつもりで回答していくということを考えながら独りよがりの答案にならないようにていねいに考えをすすめていくとよいです。
応用問題:9−10月
簡単な問題演習でアウトプットに慣れてきたら、次は実際の受験問題に近いレベルの問題を解いて、力をつけていきましょう。
数学であれば上級問題精講、化学であれば重要問題集や化学の新演習辺のレベルを解くのがおすすめです。
また、この時期に共通テスト対策として社会及び古文・漢文の暗記を始めます。これらは、時間を割きすぎても無駄なので、早い時期ではなくこの秋頃始めるのがちょうどよいです。
過去問演習:11−2月
応用問題にもなれてきたら、最後は志望校の過去問を実際に解いてみて、傾向を分析していきます。
出題傾向がわかれば、どの分野に力を入れるべきかがわかりますから、その分野に力を入れてわからない場合は問題集に立ち返って復習していきます。
この過去問演習が、受験生最後の伸びに関わりますから最後まで気を抜かずにやっていきましょう。
短期合格のカギは医学部予備校選び
医学部再受験生が一年で合格することができる確率をぐっと引き上げてくれるのが、医学部予備校です。先に話したように、医学部再受験は先駆者が少なく、情報が足りないということがあります。
しかし、医学部受験のプロである医学部予備校に通うことで、医学部再受験のノウハウであったり、モチベーションの保ち方であったりを先生に指導してもらうことができるのです。
情報も足りず、脳も現役生に比べて衰えている再受験生が効率よく受験勉強をすすめるために医学部予備校に通うことは非常におすすめとなっています。
そんな医学部予備校選びで注意することを述べていきます。
医学部再受験生の対策・指導実績は豊富か
まず重要なのは、その予備校が医学部再受験生の指導をどれだけしたことがあるかという点です。
やはり通常の医学部受験と医学部再受験は異なったものですから、気になった予備校がある場合には実際に問い合わせてみましょう。
また、合格実績を確認して、自分の志望校もしくは自分の志望校に近いレベルの大学があるかということも事前にチェックしておくと安心ですね。
親身なサポートは受けられるか
また、生徒一人ひとりに合った親身なサポートが受けられるのかという点も非常に重要です。
授業を受けるということだけであれば、正直価格帯の安い映像授業で十分です。
しかし、自分の得意科目や苦手科目を分析してくれて、どのように勉強を進めていけばよいのかということをアドバイスしてくれるはたくさんあります。
実際に無料体験授業に行ってみたり、資料請求することでどれだけ生徒に合わせた指導を行っているのかということがわかりますから、合格を本気で考えているならばこの点を意識して予備校選びをしていきましょう。
指導法や学習環境が自分と合っているか
最後に確認しておくべきなのは、その予備校の指導方法や学習環境が自分に合っているのかという点です。
指導方法というのは、例えばその予備校の授業スタイルが「集団授業」なのか、「承認獣集団授業」なのかそれとも「個別指導」なのか、といったことになります。
授業スタイルごとにメリット・デメリット、自分に合っているのか合っていないのかということがありますから、この指導方法を蔑ろにしてはいけません。
また、環境というのは自習スベースの充実度であったり、他の、その医学部予備校に通っている受験生のモチベーションであったりということです。
これも実際に体験しないとわかりませんから、一度体験授業に参加してみると良いでしょう。
せっかく高い授業料を払って医学部入学試験対策に予備校に通うわけですから、上述のことをしっかりと調べて公開しないようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
冒頭で、医学部再受験を一年で成功させることは非常に難しいと述べました。
しかし、本記事で紹介したように医学部再受験生に寛容な大学を選択したり、医学部専門予備校に通って効率の良い勉強を進めていったりすれば、必ずしも不可能な目標というわけではありません。
この時代に医師を目指して行くということは難しいことですが、挑戦の気持ちを忘れずに努力していってください。
また、もちろん医療の現場に関わることができる方法は医師になるだけでなく、看護師や薬剤師などのコメディカルという選択肢もありますから、ぜひ今一度考えてみてください。