社会人の医学部再受験対策

医学部へ入り直す医学部再受験を決意する人は多く、学生だけでなく社会人も沢山います。
中には仕事と両立しながら医学部再受験を目指したいと考えている人もいるでしょう。
ここでは社会人の医学部再受験事情と合格の可能性について詳しく解説していきます。
社会人による医学部再受験の状況は?

社会人の医学部再受験は一般的に厳しい見方をされると言われていますが、そのような大学ばかりではなく、入試面接などで前向きな評価をしてくれる大学もあります。
実際に以前と比較しても、社会人の再受験で医学部に合格する人が増加しているようです。
社会人の強みは、一度社会に出て色々な知識を持ち、様々な観点から医療分野を見ることができる点です。
現役で大学に進み医師になることは確かに素晴らしいですが、「経営」や「サービス」という観点から医療を考えられる力が、今後の医療業界で必要になると思います。
確かに、社会人の医学部再受験に関して厳しい大学と寛容な大学はありますが、そもそも点数を採れていなければ合格はできません。
したがって、まずはしっかり学習して基礎固めを行い、成績を伸ばすことを念頭におくことが非常に重要です。
医学部再受験は「働きながら」「専念」どっちがおすすめ?

社会人にとって医学部再受験の一番のネックは、しっかり勉強時間を確保できるかということです。
そんな社会人の医学部再受験ですが、実際に再受験するにあたって「働きながら受験勉強をする」もしくは「仕事をやめて受験勉強に専念する」のいずれがおすすめなのでしょうか。
本記事では、それぞれがおすすめの場合に分けて解説していきます。
働きながら受験勉強をするのがおすすめの場合
- 医学部再受験に失敗したときのリスクヘッジのため
- 学費等経済面での不安がある場合
まずは、働きながら医学部再受験の勉強をするのがおすすめの場合ですが、働きながら受験勉強をする最大のメリットは、医学部再受験に失敗しても、キャリアが継続できることにあります。
いくら医学部再受験を決心したからと言って、今までその会社で積み上げてきたキャリアを、成功するかもわからない、むしろ成功する可能性のほうが低い医学部再受験のために葬り去ることに不安を覚える人も多いでしょう。
そういった人は働きながら、仕事終わりや仕事が休みの土日などに勉強を積み上げていくのが良いでしょう。
もちろん、仕事をやめて受験勉強に専念した場合に比べて受験勉強に割くことができる時間は少ないため時間はかかるでしょうが、リスク管理のことを考えると安全な方法であることは間違いありません。
また、医学部再受験に成功しても学費や教材費などで多額の金銭が必要となります。
そういった経済的な不安を抱えている場合も働きながら資金をためつつ医学部再受験に挑戦するのが良いでしょう。
受験勉強に専念するのがおすすめの場合
- マルチタスクが苦手
- 再受験一本に懸けたい場合
仕事をやめて受験勉強に専念することのメリットは、やはり自分の時間を全て受験勉強に当てることができて、余計なことを考える必要がないということにあります。
働きながら受験勉強をする場合、仕事と受験勉強を同時に進めるマルチタスクの能力が必要となりますが、これは簡単なことではありません。
仕事をしている間に受験勉強の不安が頭をちらついて仕事に集中することができなくなってしまう事も大いに考えられます。
逆も然りで受験勉強に思うように集中できないこともあるでしょう。
したがって、こういったマルチタスクに不安があって医学部再受験に人生をかけて集中したいと言った場合は、仕事を思い切ってやめてしまって、勉強時間を最大限に増やすことのできる環境を作るが良いでしょう。
ただし注意すべきなのは、いきなり仕事をやめてしまうのではなく、最初は休日等を利用して勉強してみて、自分に勉強の適性があるのかを判断することが重要であるということです。
社会人におすすめの勉強法

上記のように仕事と並行してまずは少しずつ医学部再受験の勉強を始めてみてはいかがでしょうか?
勤務開始前や夜間あるいは週末といった空いた時間を活用してまずは勉強してみて手ごたえを確かめてみてください。
そして、合格への道筋がある程度見えてきた、あるいはこれなら勉強を1年から2年かけてでも頑張れそうだと思えたら本格的に再受験を始めると良いでしょう。
ダイエットやトレーニングと一緒で最初はやる気満々でも、徐々にモチベーションが下がって続かない経験がある人は、勉強も同様のリスクが考えられます。
まずは勉強を実際にやってみて継続できるか確認してからでも医学部再受験に専念するのは遅くはありません。
そうしないと医学部再受験に失敗した多くの先輩たちに続く羽目になってしまいます。
仕事を辞めて退路を断ったほうが頑張れるという再受験生も中にはいますが、それで人生を棒に振ってしまうのは危険過ぎです。
医学部再受験はそれくらい難しいということは肝に銘じて将来の人生設計を行いましょう。
医学部再受験生は積極的に模試を受験しよう
医学部再受験を狙っている社会人に強くおすすめするのが模試の受験。
模試は受験することで、実際にどんな問題が出て自分はどれだけ時間をかけているかを知ることができます。
また、模試成績には偏差値が示されるので、受験校の絞り込みにも有用です。
駿台や河合塾など大手予備校の模試をフル活用すれば1-2ヶ月に1度は模試を受けることが可能。
もちろんそこまでのペースで受ける必要はありませんが、模範回答を見ることも学びにつながるし、何より時間的に効率の良い学習をすることができます。
医学部再受験生の多くは、まずは勉強と学習をどんどん進めようとする人が多いのですが、まずは模試を受けてみましょう。
実際の受験の感覚や問題の難易度を定期的に肌で感じて、受験勉強に挑むことをおすすめします。
再受験に寛容な大学とは?

当然のことながらどの医学部を見ても、高校からの進学受験生と、社会人や多浪生などの再受験生によって対応の仕方を分けていると言っている大学はありませんが、やはり社会人などの医学部再受験生の方が合格率が低い特徴があります。
その理由としては主に以下の2つが考えられます。
- 社会人などの再受験生の方が学力が低い傾向がある
- 高校からの進学生と社会人再受験生で対応の仕方が異なる(可能性の話)
1. の理由としては、再受験生の方は社会人経験が長いほど受験勉強から離れている期間があり、以前の知識を取り戻すのに時間がかかるからです。
また、文系出身の方であれば理系科目の経験がない分不利ですし、仕事と両立をされている方であれば、そもそも勉強時間の確保が難しいからです。
2.は、まず前提として可能性の話であるということを頭に入れて頂きたいですが、実際に2019年6月に発覚した3大学における医学部入試差別(この件は女性差別)などもあることもあり、絶対にないとは言い切れません。
むしろ業界では可能性としては高いと分析されていますし、社会人の再受験生で、特に医療関係のつながりがない方は心構えをしていく必要があります。
それでは社会人の再受験生に対して寛容なのはどこの大学の医学部なのでしょうか?
国立と私立に分けて有名なところを以下に紹介します。
国立大学
- 東京大学
- 大阪大学
- 山梨大学
- 九州大学
- 信州大学
- 滋賀医科大学
- 島根大学
- 香川大学
- 琉球大学
私立大学
- 東北医科薬科大学
- 国際医療福祉大学
- 帝京大学
- 日本医科大学
- 大阪医科大学
- 関西医科大学
- 近畿大学
医学部再受験の寛容度はあくまで、合格生における社会人などの再受験生・多浪生の内訳が多い医学部を指しており、年ごとに傾向が変わります。
あくまで近い年度のデータを参考にしつつ、対策を練るのが重要ですが、上述した大学は例年、社会人に対する面接も優しく、入学者数も比較的多い傾向にあります。
医学部別の寛容度に関しては以下のページでもまとめているので、気になる方はそちらもチェックしてみてください。
→ 再受験生に寛容な国立・私立大学医学部学士編入の試験対策と両立は可能?

次に、社会人にとって学士編入の試験対策と医学部再受験の入試対策は両立可能なのかどうかということについて解説していきたいと思います。
まず結論から話すと、社会人にとっての学士編入試験対策と医学部再受験の両立はかなり厳しいです。
あまりおすすめすることはできません。
難しい理由は試験問題の質の違い
医学部再受験と編入試験の両方を目指すことが難しい理由としては、入試問題の質が異なるということが挙げられます。
学士編入試験は難易度が高く、また大学ごとに特色があるのでその大学に特化した勉強をする必要があります。
一方で、医学部入試はたくさんの科目を広く学ぶ必要があります。共通テストが必要となる国公立医学部であればなおさらです。
上述の通り、社会人は普通の受験生に比して勉強時間を確保することがどうしても難しくなってしまいます。
従って、質の異なる学士編入試験と医学部再受験の入試を並行して勉強するとなると、どっちつかずになってしまってどちらも不合格、すなわち共倒れになってしまう可能性が高くなってきます。
どちらかに絞ることが大切
社会人の医学部再受験生が合格を実現させるためには、どちらかに集中して対策することが重要です。
「二兎追う者は一兎も得ず」とも言いますから、医学部再受験を志したのであれば学士編入は選択肢から外して、一般の受験対策に専念するのが良いでしょう。
いかがでしょうか。社会人にとっての学士編入試験対策と医学部再受験の両立がおすすめできない理由がわかっていただけたのではないでしょうか。
合格の可能性を上げるいくつかのポイント

社会人の医学部再受験は、様々な理由で難易度が高いのはおわかり頂けてるかと思います。
ただ医学部再受験は単純に勉強をすれば合格できるというわけではなく戦略を練ることも重要です。不利な傾向のある社会人再受験生の方々は失敗しないためにあらゆる対策をねることをおすすめします。
ここでは社会人経験を経て医学部再受験を目指す方に、医学部受験を成功させるための合格ノウハウをいくつか紹介していきます。
医学部受験に確実の合格するためのノウハウなどは存在ませんが、社会人再受験生ならではの強みを活かした方法もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
医学部再受験生に寛容な傾向のある大学を選ぶ
先にも述べましたが、医学部によって合格者のうちの社会人再受験生の比率が異なる傾向があります。
再受験生の皆様それぞれに目指されている大学もあると思いますが、医学部に入学することを第一にするのであれば、社会人再受験に寛容な医学部に集中して挑むのが失敗しないための方法の一つとなります。
独学は避けて予備校に通う
医学部再受験の場合、経済的な面から独学を選ぶ人も多いです。
仕事と利用率している社会人は、予備校に通うお金と時間がないからと独学を選びがち。
しかし、医学部再受験はそんなに甘くはありません。
社会人の方は、いかに勉強時間を捻出して効率良く勉強できるかが、非常に重要となってきます。
情報量とノウハウが豊富な医学部予備校などを活用して対策することがおすすめです。
特に医学部予備校の場合、医学部再受験コースや仕事と両立できる社会人コースを設置している校舎もあります。
医学部再受験を成功させたいのであれば、予備校を利用することを前提で考えるようにしましょう。
面接対策を十分におこなう
2020年度の九州大学医学部の面接試験導入により、全医学部において面接試験は必須となります。
もちろん学力試験に成功しての面接試験ではありますが、社会人の医学部再受験生は面接でアピールすることも重要です。
というのも、社会人でビジネス経験のある方は学生に比べて人前で自分の意見を話したり、理路整然と説明する能力が高く、自身の人物像や目的・動機などをアピールしやすいです。
ただし逆に社会人経験があるのにその点を上手く説明できないと、大きくマイナスに見られ失敗してしまう可能性もあります。
時事ニュースも含めしっかりと情報収集して面接に挑むことが、医学部再受験成功への鍵の一つです。
私立大学の医学部入試も検討する
これは医学部再受験を決める段階で意識しておかなくてはならないことではありますが、社会人から医学部再受験を目指す際は私立の医学部入学も視野に入れたプランを立てる必要があります。
というのも、私立大学医学部の試験は国立に比べて受験科目が少なく(例えば文系科目を除いた、英語・数学・物理・化学・生物のみ)、必要な科目に絞って勉強に集中できるからです。
私立大学は併願が可能であり、共通テスト対策も不要なので、複数大学を受験することで合格率を上げることができます。
医学部再受験は情報戦
医学部再受験に限らず、受験は情報戦です。
特に医学部再受験を狙う社会人は、自身の高校時代や大学受験からのブランクも長く、持ち前の情報はもちろん周囲に仲間や先生もいないため情報収集能力も乏しいもの。
これまで述べたように、実際には医学部再受験に寛容な大学とそうでない大学があり、面接で過去に社会人受験生が問われた内容はもちろん、大学ごとの進級率の違いや医師国試の合格率など、知っているだけで有利になる情報は多々あります。
ここでは情報の収集方法別に解説していきます。
インターネット
多くの医学部再受験生が活用しているのがインターネット。社会人も例外ではありません。
実際、医学部再受験に特化した有名なまとめサイトも存在しています。
そのほかにも、これまで社会人で医学部再受験に挑戦した人のブログやノート、記事なども決して多くはありませんが、検索するとチラホラ見られるようになっています。
成功談でも失敗談でも、先輩が体験したことを如実に知ることができるツールとしてとてもおすすめである一方、社会人として情報の取捨選択・正誤判断は必要です。
あくまでその医学部再受験生の個人の感想であり、情報自体も決して最新のものではないことを忘れてはいけません。
本・参考書
医学部再受験を特集した本は無いわけではありません。
書籍化されている以上、掲載されている情報は信憑性が高いですが、逆に言えば裏話や内部事情などについては全く触れられていないという側面も。
社会人の方でまだ医学部再受験を検討している方には、まず簡単に概要を知るという意味で購入しても良いかもしれません。
予備校
大手予備校も含め、医学部予備校では当然ながら莫大な情報が集められています。
中には実際に社会人で医学部再受験を成功させた卒業生と繋げてくれる予備校もあるそうで、直接質問や相談ができる環境は正に最高と言えます。
もちろん予備校はお金がかかるため社会人といっても簡単に通えるものではありません。
それでも予備校に通うことで得られるメリットはとても大きく、筆者は強くお勧めします。
働きながら合格を目指す社会人の医学部予備校選び

社会人の医学部再受験には試験勉強のブランクがあることから、一から学習し直さなければならないという問題があります。
社会人は経済的な負担もあるため、独学で勉強しているケースもありますが、医学部は相当高いレベルなので、実際独学で合格することはかなり厳しく、学習環境が整った医学部予備校を利用する方が合格へも大きく影響してきます。
学費などの経済的負担も大きいと思いますが、医学部予備校の中には教育ローンや社会人支援制度などを設けているところもあるので、利用することを検討してみてはいかかでしょうか。
また、学費が比較的安い大手進学予備校を選ぶ人も多いですが、大手はどちらかというとある程度学力がある人や、学習方法を理解している人向けです。
学費が安い理由だけで大手を選んでしまほうが、結果が出ずに逆にお金を無駄にしてしまうことに。
限られた時間内で結果を出そうと思ったら手厚いサポートと自分だけの学習プランで対策できる医学部予備校のほうが合格の可能性は高まるはずです。
社会人の医学部再受験はそれぐらいやらないと合格は難しいということを理解し、挑戦すると覚悟を決めたのなら最高の学習環境を用意して万全の状態で挑むしか他はありません。
医学部再受験生で失敗する人が多いのは、年齢的な問題よりも安易な気持ちや中途半端な勉強による原因が多いです。
費用を抑えた医学部予備校の上手な活用法
実際のところ、医学部専門予備校であれば年間100万円以上の学費が必要になります。これは社会人といえどやはり痛い出費。もちろんそれだけ医学部再受験の合格可能性はウンと上がり、勉強時間も効率をあげられるため決して高すぎることはありません。
しかし実は、全額費用を払うことなく医学部予備校を上手に活用する方法があるのです。
一つは、医学部予備校に本科生として通うのではなく、短期講座や単科受講をするというもの。
せっかくの手厚いサポートを全面的に受けることができないのは大きなデメリットではありますが、それでも過去問の閲覧や簡単な相談・質問、面接で社会人が過去に問われたことなど、医学部再受験にとっては有益な情報を収集することが可能になります。
中には、模試の結果を受けて関連する分野を補うようアドバイスをもらえることもあるため、どうしても医学部予備校に通う出費を抑えたい人は検討してみてください。
もう一つは、地域の個別指導塾を検討すること。
日頃は中学生や高校生を指導している個別指導塾でも、現役の医学部生がアルバイトをしていたり、実は塾長が医学部再受験の指導歴があったということは珍しくありません。
個別指導塾では、指導にあたった時間に合わせて費用が決まるので、自分のペースで学習を進められる利点も。
お金を節約しながら医学部再受験を目指す社会人におすすめの通信講座
社会人で医学部再受験を目指す場合、お金問題でのハードルが高いと思います。
そんな時は、「大学受験のΣ会」という通信講座専門の医学部予備校がおすすめです。
基本的に授業を行わず、医学部受験のプロがコーチングメソッドを用いて自主学習をサポートしてくれる学習システムを採用。
適切な教材選びから、志望校選び、学習法の提案など質の高い学習を実現できるようアドバイスや指導を提供してくれます。
学費は50日単位で約30万円と言う安さで、自分の勉強法を確立するまで利用してみるのも良いでしょう。
Σ会の講師は、多浪生や社会人などの医学部再受験生を沢山指導した経験豊富な実績があるので、お金をかけずに最適な指導が期待できます。
働きながら医学部再受験を目指す社会人まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では働きながら医学部再受験を目指す社会人に向けてどのように勉強を勧めていけばよいのかということであったり、合格の可能性であったりと言ったことを紹介してきました。
医学部再受験というのは非常に厳しい道程で、成功する可能性も決して高いものではありません。
しかし社会人を経験していることが逆にアドバンテージとなりうることもありますから、腐らずに取り組んでいきましょう。
また、せっかく医学部再受験を決心したのであれば、しっかりと情報収集を行って、効率よくかつ合理的に受験勉強を進めていきたいものです。
本記事で紹介したポイントをもとに、事前の下調べを怠らずに後悔のない受験生活を送ってもらえれば幸いです。