40代の医学部再受験の可能性やおすすめ大学を紹介
40代になると30代よりもますます合格者が少ない医学部再受験。
それでも40代でも医学部再受験を目指している人は多く、合格に向けて日々努力されています。
この記事では、20代や30代前半の医学部再受験とは違い、体力や記憶力の低下など勉強に支障をきたすことも多くなる40代の医学部再受験事情について、解説していきます。
40代からの医学部再受験
40代で医学部に合格したとしても医師になるのは50代を超える人も少なくないでしょう。
40代の医学部再受験では、はっきり言って年齢がネックになることは否定できません。
年齢がネックになることは事実
医学部は医療業界の将来を担う人材を養成しており、40代医学部再受験と10代後半の現役・一浪・二浪であれば、医師として社会に貢献できる年数が圧倒的に違うからです。
また、年齢に関わらず医学部再受験生は、医学生時代、研修医時代、新米医師時代の全てにおいて同僚や上司は年下となるので、扱い難いと思われて仕方がないことでしょう。
実際の合格・入学者は存在する
これは国公立大学・私立大学どちらにおいてもとられる姿勢ですが、実際に40代での医学部再受験合格者は稀ですがどちらにも存在します。
例えば同じ国公立大学でも、群馬大学医学部では50代の主婦が筆記で高得点を取ったものの年齢を理由に不合格になっている前例もありますが、富山大学医学部では6年前に40代後半の女性が合格した事実もあります。
事実として、医学部は若い人材を求めている
入学試験は学力勝負で年齢は全く考慮しないという医学部もありますが、時代は現役生や1浪生など現役志向に変わりつつある大学が増えているのも事実です。
そのため、年齢を考慮してもそれでも医学部側が欲しがる人材であるかどうかが40代医学部再受験の合格の要に。
当然学力を含めて考慮に入れられるので、年齢のハンデを補える経歴等があるかも合否に影響していきます。
また、医学部再受験自体、その勉強量は40代にはかなり困難を極めるという感想を聞きますが、それ以上に、入学後の6年間の学生生活、その後の研修医生活など加齢と反比例して増えていく精神的・肉体的な負荷に対しても耐久できるかどうか、これも入学時に見極められそうです。
40代の医学部再受験は無謀か
40代の医学部再受験生は合格まで非常に困難であることは間違いありませんが、可能性がゼロだということはありません。
実際に40代で医学部生活を送っている人が少なからずいるのは事実であるからです。
最大の問題は「学力」
ただし、医学部合格まで学力を上げるまでが非常に困難になります。
40代と言えば、計算力は落ちているし、記憶力も現役生のライバルに比べると劣ってしまうでしょう。
しかも、体力も若い頃と同じようにいかず、勉強時間や学習量で差が出てしまい思うように学力が伸びない人が多いです。
30代でも医学部に合格する人は珍しい存在なのに、40代ならなおさら希少な存在となることでしょう。
現役医学部生で全国に医学部の友人が多い筆者でも、40代の医学部再受験成功者の話は両手に収まるほどしか聞いたことがありません。
医学部再受験を失敗した場合・・・
また、医学部再受験に挑戦した後万が一うまくいかずに断念した場合、40代の挑戦だとその後の社会復帰は困難となることが。
高齢化社会の時代、40代であればまだまだ若いと言われてはいますが、再就職は難しいのが現状です。
医学部再受験不合格の場合の進路は考えていますか?
再就職に直結できるような経歴や資格をお持ちであれば安心ですが、家族などへの影響も考えて慎重に考える必要がありそうです。
40代医学部再受験を決断する前に
40代で医学部再受験を目指すなら、まずは偏差値50台後半まで学力を上げてから本当に目指すかを判断することをおすすめします。
40代であれば会社でもある程度の役職につき、勤務終了後にはそれなりに時間を確保できるはず。
まずは1日3時間程度の学習でも構わないので1年ほど続けて見ましょう。
最終判定に河合塾など大手予備校の模試を利用し、偏差値50後半の成績を叩き出すことができるのであれば、医学部再受験合格のポテンシャルは十分にあると言えます。
達成できた場合には医学部再受験の挑戦への決断を早め、1年1年と加齢して合格ハードルが上がっていく前に成功させられるように動いていきましょう。
達成できなかった場合には、挑戦しても残り1年。あと1年学習しても目標の偏差値に届かなければ、残念ながら医学部再受験は諦めるのがベターかもしれません。
40代で医学部再受験の環境にいきなり飛び込むより、まずは受験勉強に自分が適応できるかを見極めることから始めたほうがリスクは低いです。
40歳以上の合格者・入学者状況をデータで確認
大学名 | 40代以上の合格者 |
---|---|
新潟大学 | 1 |
信州大学 | 2 |
岐阜大学 | 2 |
京都府立医科大学 | 1 |
高知大学 | 1 |
こちらは2022年度の国公立大学医学部における40代以上の入学者です。
もともと40代以上で医学部再受験をする人が珍しいというのもあるのでしょうが、全国で5大学だけとかなり少ないですね。
ちなみにですが、この5大学はどれも再受験生に寛容と言われている大学です。
医学部は再受験生に寛容な大学、不寛容な大学に分かれていると言われており、不寛容な大学では学力が足りていても年齢を理由に面接で不合格にされてしまうということもあるんだとか。
そもそも不寛容とされている大学を再受験生が受験していない、寛容とされる大学に再受験生が集中しているといった理由もあるのかもしれません。
大学によって公式にアナウンスされているわけではないので真偽は不明ですが、受験するのなら再受験生の合格者が多い大学がおすすめです。
なおここに載っていない再受験生に寛容な大学としては、島根大学、三重大学が代表的です。
島根大学は2022年に40代の合格者こそ出なかったものの、30代の合格者は6人とかなり多いです。
25歳以上の合格者数が全国の国公立医学部で1位とかなり再受験生に寛容です。
三重大学も2022年には40代の合格者は出なかったのですが、30代の再受験生が6名合格しています。
母数を考えるとかなりの合格率といえるのではないでしょうか。
40代におすすめの大学はあるか?
島根大学
再受験生におすすめな国公立大学としては、島根大学が挙げられます。
先ほども軽く触れましたが、2022年度においては25歳以上の合格者数が全国の国公立大で1位となっています。
18歳 | 19歳 | 20歳 | 21歳 | 22歳 | 23〜29歳 | 30〜39歳 | 40以上 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 25 | 7 | 6 | 3 | 4 | 6 | 6 | 0 | 57 |
女性 | 24 | 17 | 1 | 1 | 2 | 0 | 45 |
こちらが2022年度の島根大学の合格者の年齢分布です。
全合格者が102人であるのに対し、22歳以上の合格者が22人とかなり多いです。
再受験生に寛容な大学でありますし、何より入学してからも馴染みやすいと思います。
2021年度は25歳以上の合格者が15人で、40代の合格者が出ていることから再受験生にはかなりおすすめの大学であるといえるでしょう。
国語 | 数学 | 英語 | 理科 | 地歴公民 | 面接 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
共通テスト | 200 | 100 | 100 | 200 | 100 | 700 | |
二次試験 | 200 | 200 | 60 | 460 |
こちらが島根大学医学部の配点です。共通テストの配点が大きく、その中でも国語が200点となっているため文系出身の再受験生にも人気となっています。
2次で理科が出題されないのも文系出身の人からしたら対策がしやすいですね。
国際医療福祉大学
私立大学で再受験生におすすめなのが国際医療福祉大学です。
歴史の浅い大学ですが首都圏にあること、学費が安いことから人気が急上昇中の大学です。
名前の通り国際性を強みとしており、低学年での授業を英語で行ったり、海外での研修を行ったりと通常の医学部ではなかなかできない経験を積むことができます。
18歳 | 19歳 | 20歳 | 21歳 | 22歳以上 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 23 | 31 | 18 | 2 | 12 | 86 |
女性 | 35 | 13 | 4 | 0 | 2 | 54 |
こちらが2022年度の入試における合格者の年齢分布です。
22歳以上の受験生の詳しい分布は公開されていなかったため、40代の医学部再受験生が合格していたかは不明ですが、再受験生の数が14名と全体の10%を占めています。
試験の配点は数学150点、理科200点、英語200点となっており、数学の配点がやや低いです。
この大学の入試の特徴として、面接が30分×2回とかなり長いということが挙げられます。
社会人経験のある再受験生にとってはかなり有利ではないかと思われます。
40代の医学部再受験を成功させるポイント
財力を最大限駆使する
40代ともなれば、社会人として20年近く働いてきているということになりますから、収入や貯蓄が十分あるという場合が多いでしょう。この点が、年の若い医学部再受験生との大きな違いになってきます。
では一体どのように財力を駆使するのかという点ですが、やはりおすすめなのは医学部予備校に通うことでしょう。
医学部専門予備校は、学費こそ高いものの医学部受験のエキスパートですから、医学部再受験でどのような点に注意して、どのように勉強を進めていけばよいのかについてのエッセンスを提供してくれます。
40代というと受験勉強から離れていた歳月は非常に長く、簡単に取り戻せるものではありません。
身近にこのように医学部再受験生活を指南して方針を示してくれる存在がいることは、効率の良い勉強ひいては医学部再受験の成功に直結するでしょう。
このように、財力を用いて加齢によるハンディキャップを埋めてやることが、非常に重要であると言えるでしょう。
将来のビジョンを明確にする
次に重要なのは、将来のビジョンを明確にすることです。
上述の通り、医学部再受験に成功して医師になることができたとしても、同僚や上司は年下になってしまいます。
そんな中で、どのように振る舞って働いていくかということをしっかりと考えておく必要があります。
また、自分の年齢を考慮してどの診療科に骨を埋めるかということも事前に考えておく必要があります。
働き方を想定して、医師になっている自分を考えることがモチベーションになり、過酷な40代での医学部再受験生活を乗り越える糧にすることが重要です。
高齢での医学部再受験は心が折れてしまうことにより断念することが多いですから、この点をしっかりと意識しておきましょう。
また、将来のビジョンを明確にすることは医学部再受験ではほぼ避けて通ることのできない鬼門である面接試験の対策としても役に立つでしょう。
医学部再受験生、特に高齢の医学部再受験生では、面接で将来のビジョンや医学部の志望動機について深く掘り下げられることが少なくありません。
そういった意味でも、将来のビジョンを明確にしておくことが重要です。
医学部学士編入は選択肢に入るか
40代で医学部再受験ではなく、40代で医学部編入ならどうでしょうか。
学士編入の場合、大学卒業後に社会人経験を積んでいる人も多いので、自然と年齢は上がります。
しかし、40代ともなると医学部卒業した時に50代前半も珍しくないので今後のキャリア形成の時間は限られてしまいます。
そこを大学側がどう判断するかでしょうが、40代だからと言って自動的に不合格になることはないはずです。
もちろん年齢が上になるほど、これまでの経歴や実績は見られますが、そこをしっかりとアピールできれば魅力に感じてくれる大学はあると思います。
40代の編入試験は限定的におすすめ
一般入試と異なり、編入試験の場合は大学側も多様性を持った学生を求めており、年齢制限も設けていないので年齢に関係なく門戸を開いているもの。
ただし、医学部の中には年齢に寛容ではない立場を取る大学もあるのは事実なので、志望校選びは再受験と同様に重要となります。
希望を持てる情報として、現在の多くの医学部では一般入試で学力重視、編入試験で面接や経歴重視としている傾向があります。
したがって、もちろん編入試験での筆記試験でも十分の得点率が必要ですが、その上で面接でのアピール力や経歴が十分であれば40代であっても合格可能性は十分にあると言えます。
さらに、編入試験では研究医を養成することを暗に意識している大学も多いため、研究医志望と銘打って挑戦することも一つの方法かもしれません。
受験専念よりも仕事との両立がおすすめ
医学部再受験には、勉強に集中する専念組と仕事をしながら勉強する両立組の2種類に分かれます。
結論から言うと40代で医学部再受験合格を目指すのであれば仕事を継続しながら勉強する両立組のほうがおすすめとなります。
キャリアを中断して医学部再受験生活に特化した結果、不合格で終わった場合に40代で再就職は非常に厳しいです。
確かに、医学部再受験に必要な学力まで上げるには両立だと非常に厳しいですが、不合格の場合の道はもっと厳しいということを覚悟しておいた方が良いでしょう。
医学部に合格できる保証がないので、ある程度学力がついて合格の見込みが出てくるまで両立でまずは挑戦してください。
もちろん専業主婦など経済的な保証がある方であれば、専念して勉強したほうが医学部合格の可能性は高まります。
また、再就職に直結する経歴や資格をお持ちの方などについでは、むしろ絶対に専念してでも本気で医学部再受験に挑戦することをおすすめします。
50代の医学部再受験はさすがに無理か?
50代の主婦が群馬大学医学部の入試で筆記試験では平均点以上だったものの不合格となり、面接で落とされたのではないかと訴訟にまで発展したケースがありました。
ただし50代で医学部を目指し京都大学医学部に合格し、63歳で医師国家試験に合格した人がいるので絶対に不可能ではないです。
今の現役生・1浪生が好まれる時代でも通用するかは分かりませんが、2015年度の医師国家試験合格者の最高年齢は60歳です。
ストレートに医学部を卒業して医師国家試験に合格したと考えれば、50代前半で医学部合格を実現していることになります。
つまり、50代でも医学部合格は不可能ではないということです。
これはあくまで筆者の意見ですが、50代の医学部挑戦ともなると、かなりの学力があり入学試験で上位20〜30%ほどの成績を収めない限りは、大学側もわざわざ合格させようとしないのではないかと感じています。
それでも、40代でも困難な医学部再受験を50代で目指すとなると、体力的・精神的にも非常に厳しいのは周知のとおりです。
しかし、諦めない限り、医学部再受験は50代でもチャンスがあるということが上記の事例で証明されています。
まとめ
今回は40代の医学部再受験ついて焦点を当てて解説しました。
40代ともなると、現役時代の知識もほとんどない状態であることが多く、かつ年齢的に記憶力や理解力、瞬発力が現役生や浪人生に比べて衰えてしまうことが多いです。
そのため、40代では、20代・30代での医学部再受験と比べてもかなり厳しい道であることは認めざるをえませんが、その一方で毎年40代以上の医学部再受験合格者がいることも事実。
40代から医学部合格レベルまで各科目を上げることは難しいですが、そのレベルまで上げてしまえば合格する可能性は十分にあると考えていいです。
とはいえ、独学で40代から医学部再受験を狙ったとしても時間が余分にかかってしまうし、スケジュール管理などの負担や先行きの読めない不安に対するメンタルケアをすべて自分自身で行う必要があります。
それを回避するためには医学部予備校に頼ってみるとよいでしょう。
医学部予備校ではこうした40代以上での医学部再受験をみてきた実績があるので、ノウハウをしっています。
また自分の弱点に合わせた対策や、独自の情報から適した大学を選択してくれるので、合格率を少しでも上げたいのであれば頼ってしまった方が確実です。