転部とは
転部(点学部)とは、在籍する学部から違う学部に変わることであり、学科が変わる場合は転学科と呼ばれています。
転部のシステムについては、各大学の規則等によって異なっていますが、1年から2年または2年から3年への進級時で実施されます。
医学部へ入学する場合、一般入試を目指す再受験と学士編入が一般的に話題になりがちですが、他学部に在籍している場合はこの転部という選択肢もあります。
もちろん、転部は大学内で実施されるため医学部が設置されている大学に在籍していることが大前提となります。
ここでは、医学部への転部は可能かどうかについて考察していきたいと思います。
転部のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
医学部へ入学できる | 実施大学は限定的 |
1年次から再び始める必要がない | 成績上位が必須 |
時間とお金の節約 | そもそも大学に医学部がないと無理 |
転部についてメリットおよびデメリットをあげてみましたが、最大のメリットは何といっても医学部医学科へ在籍できることです。
しかも、編入と同じように2年次から始められるケースが多いため、1年分の時間と学費を節約できます。
医学部再受験や学士編入の場合は、予備校などに通って勉強する必要があるため、受験期間やその分の学費はどうしても生じてしまいます。
メリットだけみるなら医学部へ入る手段として転部もありだと思うかもしれませんが、デメリット要素のほうが大きい傾向にあります。
まず、大学内に医学部を設置している場合でも、転部を認めていない大学もあるため可能性としては限定的です。
しかも医学部という大学内で最も難易度の高い学部へ転部するとなれば、学部トップくらいの成績がないとまず無理と言えるでしょう。
他学部に在籍しながら医学部再受験を挑戦する人が多いのはそのためです。
医学部への転部は、再受験や編入に比べて情報量が少ないのは、それだけ実績が少なく限られた人しか実現できないからでもあります。
岩手医科大学は歯学部のみ転部可能
岩手医科大学では、歯学部のみ、2年次進級の際に医学部への転部が認められています。
転部試験は、1次試験、2次試験で構成されています。
1次試験 | 書類審査、学科試験 |
---|---|
2次試験 | 小論文、面接 |
書類審査は、歯学部1年間の教養科目および専門科目の成績が評価され、学科試験については歯学部1年次で学ぶ科目以外に医学部1年次で履修する専門科目も試験範囲となります。
つまり、医学部への転部を目指す学生は、個人で医学部1年生が学ぶ専門科目の対策を行わなければなりません。
昭和大学や千葉大学は学則で転部を認める
昭和大学では、学則第33条第2項で、「本学の医学部、歯学部、薬学部、保健医療学部の第1学年の学生で相互の学部へ転部を希望する者があるときは、選考の上、学年初めに限り、第2学年に転部入学を許可することがある。」と明記しています。
また、千葉大学では、学則第25条第1項で、「本学の他の学部に転部又は所属学部の他の学科に転科を志願する者については,欠員のある場合に限り,別に定めるところにより,選考のうえ,相当年次に転部又は転科を許可することがある。」と定めています。
しかし、「許可することがある」に留めており絶対ではない点に注意する必要があります。
医学部医学科で欠員が生じた場合などに適用されるくらいなので、昭和大や千葉大の他学部に入学して転学を目指すというのは非現実的です。
総合入試を採用する北海道大学
北海道大学(北大)では、学部ごとの個別入試とは別に2011年より「総合入試」の制度を導入しています。
総合入試では、文系と理系の2分野で募集を行い、1年次の成績と学生の希望に沿って2年次以降の所属学部が決定されます。
総合理系の偏差値は河合塾で57.5と医学部医学科の65に比べて難易度が大きく下がるので、総合理系で入学して医学部2年次所属という選択肢もあります。
ただし、総合入試で1017名募集したうち医学部医学科へ2年次以降在籍できるのは、5名しか定員が設けられていないため非常に狭き門ということになります。
定員があるだけ可能性はゼロではありませんが、成績上位は必須であり医学部への道が確約されていないリスクがあります。
医学部への転部は非現実的
医学部への転部について紹介してきましたが、医学部医学科を本気で目指すのであれば再受験か編入試験のほうが現実的であります。
制度上で言えば医学部への転部もできないわけではありませんが、授業の成績で首席レベルを維持する必要があるほか、医学部の専門科目が転部試験で出題されることもあるので合格できる人は非常に限られてきます。
しかも、医学部への転部は1年から2年へ進級するタイミングの1度きりのチャンスしかないので、挑戦してだめなら再受験という方法もあります。
他学部1年次に在籍している学生で成績上位者であるなら、再受験や編入に挑戦する前に検討してみても良いでしょう。
ほとんどの再受験生は、やはり募集定員が多い医学部一般入試を、年齢差別の有無を見極めながら挑戦する傾向にあります。