
本州最北端に位置する、医学部設置大学である弘前大学。
実は弘前大学医学部は、青森医学専門学校を母体としており、実は東北では二番目に設立された医学部となっています。
そんな弘前大学医学部は、様々な最新の研究設備を完備しており、将来的に研究者になりたいという受験生や、研究者になるかはわからないが最新の研究に触れてみたいという受験背にとっては非常に魅力的なものではないでしょうか。
本記事では、弘前大学医学部医学科について特徴やカリキュラム、直近の医学部再受験生の合格状況や受験科目及び受験倍率等、弘前大学医学部に関する情報について紹介していきたいと思います。
弘前大学医学部医学科の特徴・カリキュラム・概要

まずは、弘前大学の特徴カリキュラム、概要情報について簡単にまとめていきたいと思います。
特徴
弘前大学医学部の教育の特徴として、以下のようなアドミッションポリシーがあります。
以下、弘前大学医学部ホームページより引用。
医学部医学科では,豊かな人間性と高度の医学知識に富み,広い視野と柔軟な思考力をもって社会的役割を的確に果たすことができる医師及び医学研究者の養成を目的としています。
そのような人材の養成を目指すにあたって,「卒業認定・学位授与の方針」(ディプロマ・ポリシー)と「教育課程編成・実施の方針」(カリキュラム・ポリシー)を十分に理解し,以下に掲げる学力・行動力・意欲を有する学生を求めます。
- 医学教育を受けるに十分な素養で,入学後に修める教養教育と専門教育の基礎となる学力
- 他人を思いやるやさしさと社会性を持ちながら,高度で先端的な医療を地域社会と連携しながら実践してゆく行動力
- 生涯にわたり医師として医療・医学に貢献したいという明確な目的を持ち,何事にも前向きに取り組み,知的・人格的に成長していこうとする意欲
弘前大学が、医師になるのに十分な高い学力を求めると同時に、実際に考えを行動に移して周囲と連携しつつ医学の発展に寄与することのできる人材を育んでいこうということが伺えます。
賢いだけでは医師になる素養としては不十分で、弘前大学ではそれ以外の面も重要視しているという点がよく分かりますね。
カリキュラム
●1年次
弘前大学1年次は、教養教育科目であったり、基礎医学といった授業を履修します。
また、その他にも医用システム工学であったり、医の原則であったりといった授業を履修することで、医学生としての自覚が育まれていきます。
●2年次
2年次では1年次から引き続き基礎医学を勉強しつつ、医用統計学であったり、地域医療入門といった授業を受講していきます。
基礎医学について説明しておくと、基礎医学は解剖学であったり組織学であったりと、これから学んでいく臨床医学の土台となる知識のもののことで、非常に重要なものとなっています。
●3年次
3年次では臨床医学が始まります。臨床医学では、内科学や外科学のように、まさに医学といった科目を学んでいくことができますから、臨床医学の授業を楽しんでいる学生も多いことでしょう。
●4年次
4年次は3年次から引き続き臨床医学を学びつつ、臨床実習に向けて臨床実習入門の講義を受けていきます。4年次には、またこれまでの総まとめとしてCBT/OSCEという試験を受験することになります。
●5年次
弘前大学5年次では臨床実習を行い、附属病院や学外実習施設を利用することになります。患者さんと実際に触れ合う病院実習は非常に有意義な経験です。
●6年次
6年次では、5年次に引き続いて臨床実習を行い、6年の最後には医師国家試験を受験します。
医師国家試験では、合格を勝ち取れるようにこれまでの実習や勉強の成果を思い切り発揮しましょう。
概要情報
ここでは、弘前大学医学部医学科の概要情報について簡単にまとめておきたいと思います。
区分 | 国立 |
---|---|
キャンパス所在地 | 〒036-8562 青森県弘前市在府町5 |
学費 | 入学料:282,000円、授業料(年額):535,800円 |
偏差値(河合塾) | 65(2020年度入試) |
医学科公式ホームページ | https://www.med.hirosaki-u.ac.jp/web/index.html |
男女別在籍者数(令和2年5月時点) | 男:57,3 女:42.7 (単位はいずれも%パーセント) |
医学部再受験生の合格状況や年齢の寛容度

結論から言いますと、弘前大学は医学部再受験生にはあまりおすすめできないと言えます。
なぜ、弘前大学が医学部再受験生におすすめできないかということについては下記で詳しく解説していきます。
22歳以上の合格状況
まずは毎年の弘前大学の医学部入試の年齢別合格者の内訳をご覧ください。
下のすべての数字は、各年齢の合格者数表しており、単位は人となっています。
弘前大学が医学部再受験におすすめできない理由
18歳は現役生、19〜21歳は浪人生、22歳以上の受験生の多くは再受験生であるということを念頭において、上の年齢別の弘前大学の合格率データを見ていきましょう。
そう考えると、各年の弘前大学医学部再受験生の合格者数の合計は、2021年度及び2020年度は4人、2019年度は2人ということになります。
この数字をどう取るかということはその人によって異なってくるとは思いますが、一般的に見てこの医学部受験生の合格者数は少ないと言えるでしょう。
全体の弘前大学医学部合格者が約110人程度ですから、医学部再受験生の合格者は全体の2-4%です。
医学部再受験生に寛容であると言われている大学では、医学部再受験生の合格者数がより多くなっていますから、弘前大学に拘る理由がないのであれば、他の年齢に寛容な医学部を受験することをおすすめします。
もちろん、弘前大学医学部再受験生の合格者が0人というわけではないですから、出身の立地や将来的に行いたい研究があるということであれば、挑戦して見る勝ちはあるでしょう。
なお、医学部再受験生の合格者の中で性差はあまりありませんから、男女で合格のしやすさが変わってきたりということはないかと推測されます。
弘前大学入学試験を医学部再受験で合格するための勉強対策方法ポイント

※最新の受験情報については、変更の可能性があるので必ずご自身で受験要綱をお読みくださるようお願いします。
弘前大学医学部医学科入試に合格したい医学部再受験生は、下記のポイントに注意しましょう。
- ポイント1:共通テストで9割以上が安定して取れるようにする
- ポイント2:英語を高水準のレベルに持ってくる
ポイント1:共通テストで9割以上が安定して取れるようにする
後述しますが、弘前大学医学部の配点は共通テストが1500点中1000点、すなわち全体の2/3を占めています。
従って、この共通テストで高得点を取っておけばかなりなアドバンテージになりますが、逆に共通テストで芳しくない結果を残してしまうと、逆転が非常に難しくなってしまうのが現状です。
弘前大学前期一般入試の共通テストで特に配点が高いのは、理科の300点となっているので、特に物理化学で点数を安定させる方法を簡単に紹介します。
まず、化学ですが共通テストで出題される化学の問題の中には想像以上にニッチなものもあります。
こういったものを取りこぼさないために、演習としてできるだけ多くの問題を解くということを意識しましょう。
出題されうる全範囲を完璧にカバーすることは難しいですが、教科書レベルから始めて、標準レベル、難関大学レベルと段階を上げていけば本番でほとんど全ての問題に対応できるはずです。
一方物理ですが、共通テストの物理で怖いのは時間が不足することです。
問題のレベルはそこまで高くないですが、この時間制限を突破しないと高得点は安定しません。
対策としては、普段演習する際に少しシビアな時間制限を自分で設けてタイマーを利用するなどして、できるだけ早く正確に解くことができるように練習をすることが大切です。
ポイント2:英語を高水準のレベルに持ってくる
二つ目のポイントは、英語を高水準のレベルに持ってくることです。
弘前大学の個別学力試験は、総合問題となっていますが、英語の問題が大半を占めていて、英語ができないと話にならないというものになっています。
従って、英語を共通テストレベルではなく、難関大レベルまで引き上げることがこの総合問題で高得点をとる鍵となります。
勉強を始める前に、まずは一度過去問に目を通してみましょう。どのような問題かがわかれば、対策の勉強もやりやすくなります。
具体的な対策としては、単語と長文読解に力を入れるのが良いです。
弘前大学が過去問を公開しており、本文は著作権の問題上隠されてしまっていますが、分量からして長文読解が出題されていると考えられます。
長文読解は、数をこなしていくと長文のどこに熱量を掛ければよいのかというのが段々と分かってくるので、数をこなすことが重要です。
弘前大学の過去問以外にも、他の国立大学医学部の英語長文の過去問だったり、難関大向けの長文問題集を演習に用いて、素早く長文の要点を掴むことができるように練習しましょう。
また、単語は少しハイレベルなものも使われているので、鉄壁などの網羅的な単語帳を利用するのが良いです。
2022年度一般入試(系統別日程)の試験結果

一般選抜入試の2022年度の結果を見る前に、まずは弘前大学医学部医学科の前期試験入試の受験科目関連情報を見ていきましょう。
弘前大学は国立大学であるため、入試は大学での試験に加えて、国公立大学では必須となる共通テストが課されているということに注意しましょう。
以下、弘前大学ホームページからの情報になります。
※なお、入試形式は変更する可能性もあるので、入試最新の情報は逐一大学の発表するサイトにアクセスして確認してください。
一般前期入試 2022年度の試験科目と配点
【共通テスト】5教科7科目(1000点満点)
【国語】 | 国語 | 200点 |
---|---|---|
【数学】 | 数IA・数IIB | 200点 |
【外国語】 | 英語[リスニングを含む] | 200[100]点 |
【理科】 | 物理・化学・生物から2科目 | 300点 |
【社会選択】《地歴》・《公民》から1科目選択 | ||
《地歴》 | 世A・日A・地理A・世B・日B・地理Bから選択 | 100点 |
《公民》 | 現社・倫理・政経・「倫理・政経」から選択 | 100点 |
注意すべき点として、理科は基礎科目の選択ができないという点があります。
【個別学力試験】1教科(500点満点)
【総合問題】 | 300点 |
---|---|
【面接】 | 200点 |
※医学科の「個人面接」は、事前に提出される「調査書」及び「志望理由書」を参考資料に用いて実施されます。
また、面接の得点が低いと不合格になる場合があります。
弘前大学の個別学力試験は、多くの大学でそうであるように数学や理科などの科目に分かれているわけではなく、総合問題と面接によって構成されています。
共通テストと個別学力試験を合わせた1500点満点中、共通テストの配点が67%と非常に大きいので、共通テストに力を入れることが重要となってきます。
入試倍率
2022年度も含めた一般枠前期入試倍率を見てみましょう。入試倍率は、志願者数/合格者数で計算しています。
年度 | 倍率 | 合格者数 | 志願者数 |
---|---|---|---|
令和4年度 (2022年度) |
4.32 | 50 | 216 |
令和3年度 (2021年度) |
2.87 | 53 | 152 |
令和2年度 (2020年度) |
4.06 | 54 | 219 |
※参考:弘前大学ホームページ、大学受験パスナビ
2020年度、及び直近の2022年度の倍率が4倍弱であるのに対して、2021年度3倍以下となっており、年度によって多くなばらつきがあるのが見て取れます。
このように入試倍率に大きなばらつきがある場合は、一番高かった倍率を想定して受験対策を進めていくのが一番良いですので、大体4.3倍くらいを想定しつつ受験勉強を進めていきましょう。
また、4倍という倍率は高く感じるかもしれませんが、医学部の中では平均的で、むしろ私立大学医学部であればもっと高くなってくるということも考えられるので、恐れずに挑戦しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
弘前大学は、過去の入試データを見る限りでは医学部再受験生にあまりおすすめできる大学とは言い難いです。
しかし前述の通り、医学部再受験生の合格者がいないという訳ではないのでどうしても弘前大学を志望する理由があるのであれば、紹介した勉強のポイントを参考にしつつチャレンジしてみてください。
弘前大学に限らず、医学部再受験に挑戦する際は、模試や予備校を上手に使って、高校時代の勉強を思い出しつつ知識の定着を効率的に行えるよう意識した生活を送ってください。