
一度大学を卒業した後や中退した後に医学部を受験することを医学部再受験と言い、最近はメジャーになりつつあります。
ただし再受験生は通常の高校生や浪人生に比べてどうしても不利であると言われています。
年齢による学力の衰えもありますが、2時試験の面接で大学によっては医学部再受験生の点数を低めにつけるような大学もあるようです。
そこで今回は医学部再受験生が面接で有利になるような経歴について紹介していきたいと思います。
なぜ医学部再受験生は不利なのか?

入試では医学部再受験生も現役生と同じく学力テストと面接を受けるという流れになります。
学力テストでは現役生と同じように採点を受けるのですが、面接において大学により医学部再受験生に寛容な大学、不寛容な大学があるそうです。
医学部入試では面接試験の結果を点数で評価する大学と合格か不合格かで評価する大学の2種類があり、不寛容な大学では再受験生の点数が低かったり、不合格にされてしまったりといった差別が行われているような大学もあるようです。
これがすごい経歴を持っていれば優遇されるのか、それとも経歴に関わらず再受験生が差別されてしまうのかは不明ですが、医学部再受験をする際には寛容な大学を見つけるといいでしょう。
医学部再受験で有利になる経歴

それではここから医学部再受験で有利になる可能性のある経歴について考えていきたいと思います。
そもそも受験生の大半は10代であるため、再受験生は年齢の面で遅れを取っています。
大学としても体力があり、少しでも長く医師として働くことのできる学生を求めているため、能力や人格が同じならば若い現役生を合格させたくなるのも自然な流れと言ってよいかもしれません。
再受験生としては現役生にない経験、経歴をアピールすることが医学部合格に向けて大事なことになってきます。
経歴1:社会人経験がある
医学部再受験において有利になる可能性のある経歴として、社会人経験がある、というものが挙げられます。
医学部に入学する生徒のほとんどはつい最近まで高校生だったため、社会に出た経験というものはほとんどありません。
ですが、大学によっては1年生のうちから実際の医療現場に出る実習を行っているところもあります。
医療現場に出れば患者さんからは医療スタッフの一員として見られることになります。
こういったときに社会経験があれば、社会人としてのマナーや礼儀において現役よりも一日の長があるため有利であるといえるでしょう。
大学側としても学生の評判は大学の評判に直結してしまうため、ちゃんとした学生を合格させたいという思いはあるでしょう。
また、医学部の授業ではグループワークが高校のときに比べて多くなります。
高校にもよるのですが、一般的な高校ではまだそこまでグループワークの授業が少なく、内容としても友達同士なのでなんとなくなあなあな感じになってしまいがちです。
医学部のグループワークではチームワーク医療を意識した形式になっているため、時として全く話したことのない他大学の学生とも話し合いをすることが必要となってきます。
社会人として働いた経歴がある医学部再受験生ならば会議で司会として円滑に進行したり、意見をまとめたりといったリーダーシップを発揮しやすいです。
面接試験では社会に出て働いたという経歴をアピールし、それが実臨床においても活かすことができるということをアピールするといいかもしれません。
経歴2:大学に在学中である
医学部再受験生の中には現役の大学生という経歴の方もいると思います。
一見すると不利なように見える経歴ですが、アピールの仕方によっては面接で有利になる可能性もあります。
大学に在学中ということは他の学問を学んでいる最中かと思います。
他の学問を学んでいる中で医学部再受験をしようと思うに至った経緯、熱意を上手く面接官にアピールすることで有利となるでしょう。
現役生の中には親に医学部を受けるように言われたから、成績がよかったからといった理由で医学部を受験する人も多かれ少なかれいると思います。
医学部再受験という手段を取ってでも医学部を受けるという熱意を伝える練習をするようにしましょう。
また、大学に在学中であれば最後に受験した経験を活かしやすく、休学をすれば勉強時間も確保しやすいです。
現役の大学生という経歴は医学部再受験においては比較的有利です。
経歴3:医療職の経験
看護師や臨床心理士など、医療系の資格を取得していたり、実際に働いた経歴を持つ方が医学部再受験をするというパターンもあるかと思います。
先ほども述べたように現在の医療ではチーム医療が重要視されています。
チーム医療というのは1人の患者さんに対して複数の医療スタッフが役割分担をして治療にあたるというものです。
看護師はケアの観点から、薬剤師は薬の観点から、ソーシャルワーカーは患者さんの暮らしの観点からというように、それぞれ経歴、考え方は異なっています。
医師以外の医療系の資格を保有している方ならば他の職種からの観点を理解しやすいです。
医師は多くの場合チーム医療でまとめ役を担うことがあるため、他の職種のことを理解できるというのは大きなメリットとなるでしょう。
また、他の職種であっても患者さんとの接し方や振る舞いなどは同じです。
医療現場で働いたことがあるという経歴は医学部再受験においてプラスに働くかと思います。
経歴4:理系大学/大学院卒
医学部以外の理系大学、大学院を卒業した経歴がある医学部再受験生もいるかと思います。
そういった場合には研究医への関心をアピールするといいかもしれません。
医学部を卒業した後、臨床医として働く道というのが一般的に知られていますが、研究の道に進むという選択肢もあります。
もちろん臨床をしながら研究をするという選択肢もあります。
理系の大学や大学院を卒業した経歴のある方ならばこの研究医に興味があるとアピールするといいかもしれません。
大学によっては入試で研究医枠というものを確保するほど研究に力を入れているところもあります。
理系の大学に在籍し、研究をしていた経歴をお持ちの医学部再受験生ならばその経歴を大学に入ってからも活かすことができるでしょう。
学生を受け入れている研究室も大学によってはあるため、そういった面で大学に貢献できるとアピールすることで現役生よりも有利になると思います。
学士編入について
医学部再受験以外の医学部に入る手段として、学士編入という制度があります。
学士編入というのは大学卒業者を対象として医学部に編入させるというものになり、一部の国公立、私立大学で実施されています。
大卒の経歴を持つ方が対象なので全員が受けられるというものではないのですが、対象の方には大きなチャンスとなるでしょう。
医学部再受験と学士編入の違いとして、入試科目の違いがまず1番に挙がります。
医学部再受験では通常の受験生と同じように共通テストを受け、その後に高校課程の筆記試験、面接を受けるという流れになります。
ですが、学士編入では大学によって違いはあるものの生命科学という高校では学習しない科目が入試科目に入ることが多いです。
生命科学とは人体に関する分野を深めた学問で、生化学、生理学、免疫学といったように大学レベルの内容となっています。
通常の医学部再受験とは違った内容の試験勉強をする必要はありますが、併願することが可能なので合格のチャンスも大きいです。
なお、一部医学部では大学に在学中であっても一定数以上の単位を取得していれば受験することが可能であるようです。
自分の志望校がどんな募集要項なのかはよく確認しておくようにしましょう。
医学部再受験生と面接

ここまでは医学部再受験生で有利になる可能性のある経歴について紹介していきました。
ここからは実際に医学部再受験をし、合格された方のインタビュー記事をもとにどのような面接をされたのか紹介していきたいと思います。
経歴と再受験生の質問内容
社会人を経て医学部再受験をした方
m3.comというサイトで医学部再受験生の方の面接体験記が載っていたので紹介したいと思います。
経歴としては30歳まで大手インターネット関連会社に勤務しており、そこから医学部再受験をするという流れになっています。
先ほど挙げた有利になる経歴としては社会人経験があるというのが一番近いですね。
この方曰く、医学部再受験生の場合
- 働いていたときの業務内容
- 前の大学では何をやっていたか
- 卒業したあとのキャリアプラン
- 年下と学ぶことになるがどう思うか
といった内容について質問されたようですね。
逆に現役生がよく聞かれがちな尊敬する人、自分の長所短所についてはあまり質問がされなかったようです。
対策しなくてもいいというわけではないのでしょうが、上に挙げた質問の対策よりは重要度は下がりそうですね。
この方の場合、チームのリーダーを務めたり社内で表彰された経歴があったことからそれらについてアピールしたそうです。
「自分を入学させることによる大学のメリット」を見られているように感じたそうですね。
自分の経歴の中で何か他とは違うこと、表彰されたことがある場合積極的にアピールしておくといいでしょう。
大学を卒業してそのまま再受験をした方
もう1人医学部再受験をした方で体験記として面接の内容を書いている方がいましたので紹介したいと思います。
この方の経歴としては経済学部を卒業してからそのまま医学部再受験を続け、合格されたという形になります。
先ほど有利になる経歴として紹介したものの中では大学在学中が一番近い経歴になるでしょうか。
この方が面接でよく聞かれた内容としては
- 経済学部で学んだことを医学にどう活かせるか
- 医学部再受験を始めてから時間がかなり時間が経っているがどう感じているか
- 他の同期は18歳くらいだが、うまくやっていけそうか
- 研修医になるころには○歳だが、どう感じているか
といった内容についてよく質問されていたそうですね。
その他にも志望動機など現役生がされるような質問もされていたようです。
年齢についての質問は先ほど紹介した方もよく聞かれていたようですので、医学部に入ったあと、卒業した後の人生設計については医学部再受験をする段階からしっかり考えておくとスムーズに回答できるかと思います。
大学で学んだことをどう活かすかという質問について、正解を求めているというよりは純粋な興味から聞いている感じがしたとこの方は書いていました。
こういったちょっと予想外の質問をされたときには難しく考えすぎず、自分の思ったことを正直に伝えるのがよいかと思います。
再受験生ということで現役生よりも人生経験が豊富な分、しっかりとした意見を答えられることが重要だと思います。
曖昧な感じの受け答えですと厳しい追及をされてしまう可能性もあるので、面接中は堂々とするのが良いかもしれません。
面接対策について
ここまで医学部再受験生の面接で聞かれた内容について紹介していきました。医学部再受験生の場合にはやはり現役生とは違った質問をされることが多いようですね。
実際の対策の方法として、自分の経歴を知る友人などに面接をしてもらうというのもいいかもしれませんが、予備校を利用するのも一つの手ではないかと思います。
現在では医学部再受験専用の予備校というものもあり、オンライン授業に対応しているなど再受験生にも優しいサポート体制が充実しています。
特に再受験というのは一般の受験に対してメジャーでないため、情報集めや勉強法などを確立するのがとても大変です。
その点医学部予備校ならば医学部再受験に関する情報やノウハウが蓄積されており、プロのサポートを受けることができます。
面接に関しても自分の経歴を伝えた上で志望校の傾向に合わせた模擬面接を行ってくれるのでかなり有意義な対策となるでしょう。
医学部再受験の経歴まとめ
今回は医学部再受験をするにあたり、有利になる可能性のある経歴について紹介していきました。
再受験生は年齢という面で現役生にハンデを負っているため、自分の経歴や能力をうまくアピールする必要があります。
面接の練習は特に念入りに行い、本番でもハキハキと受け答えができるようにしましょう。
また、記事の中では2人の異なる経歴を持つ方の面接体験記について紹介しました。
どんな経歴を持っていても、入学してから年下の同期とうまくやっていけそうか、卒業してからのキャリアプランというのは聞かれることが多いようですね。この2つの質問に関してはよく予行練習をしておくといいでしょう。