近年、医学部の偏差値、倍率は常に高く、医学部人気は年々加熱しています。
特に国立医学部の人気はすさまじく、共通テストでは80%付近がボーダーになるなど難易度は非常に高いです。
中でも山口大学医学部は地方国公立医学部の中では入りやすく、医学部再受験生にも人気の大学となっています。
今回は山口大学医学部についてその特徴や医学部再受験生向けに寛容度や対策方法について紹介していきたいと思います。
山口大学医学部医学科の特徴・カリキュラム
山口大学医学部の特徴
山口大学はその名の通り山口県山口市に存在する総合大学です。
医学部以外にも理学部や農学部といった理系学部、経済学部や人文学部といったように多岐にわたる学部があります。
気候が温暖で、2年次以降に授業を受ける小串キャンパスは海が近くにあるため景色がとても良いです。
大学の近隣は飲食店が充実しているため、便利でありつつもゆったりとした生活を送ることができるでしょう。
山口大学医学部の特徴としては臓器別、系統別に編成されたコース、ユニット方式を採用していることです。
医学を体系的に学ぶことができ、テストで知識の確認をすることができるので学習効果が高いです。
また、山口大学は独自の授業として高度自己修学コースというものがあります。
これは2,3年次で自分が興味を持ったテーマで研究を行い、論文にまとめるという授業です。
この授業の他にも自分が興味を持った研究室で教員や大学院生とともに研究を行うことができるプログラムといったように研究に力を入れています。
研究方面に興味がある医学部再受験生にはおすすめの大学となっています。
6年間のカリキュラム
1年次
1年次ではまず医学入門という授業が行われます。
これは今後医学を学び、医師になるための準備教育のようなもので医療現場において必要なコミュニケーション能力、ディスカッションの能力を養います。
医学部再受験生は入学後、こういった授業でリーダーシップをとれると周囲とも馴染みやすいかと思います。
医学に関する授業だけでなく、英語などの共通教育科目を学習するような時間もあります。
山口大学では1年次から実習も行います。
病院や高齢者施設に行き、実際の医療、福祉の現場を見学することで医療者としての自覚が強くなってくると思います。
2年次
2年次では主に基礎医学、臨床医学を勉強します。
科目は循環系、呼吸系といったように臓器別に分けられており、体系的に学習することができるようになっています。
解剖の実習や生化学の実習といったように自分の手を動かして学習するような科目もたくさんあり、非常に大変な学年です。
理系出身で実験操作に慣れているような医学部再受験生は有利かもしれません。
3年次
3年次では山口大学独自の科目である自己開発コースという科目が行われます。
1、2年次で学習した医学、医療、福祉の知識を基盤として学生それぞれが課題を見つけ、その課題解決のために研究、社会活動を行います。
この科目は学内だけにとどまらず学外でも授業が行われます。
学習した内容は論文として発表します。
ほかの大学ではなかなかできない、山口大学ならではの授業ですね。
4年次
4年次ではより実臨床を意識した授業を受けます。
4年生ではCBTとOSCEという病院実習に行くために必要なテストがあるため、それに合格するのが4年生での目標になります。
5年生
5年生では1年間を通して病院実習を行います。
実際の患者さんと接し、医療チームに参加することで今までに学習した知識の肉付けを行います。
6年生
6年生の途中まで病院実習が行われます。
その後は国家試験に向けて授業、自習を行うという流れになります。
医学部再受験生への寛容度
山口大学の医学部再受験情報
まずは山口大学の医学部再受験に関して、次の表を見ていただきたいと思います。
18 | 19 | 20 | 21 | 22~25 | 26~30 | 31~ | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 28 | 26 | 6 | 2 | 6 | 1 | 0 | 69 |
女性 | 23 | 6 | 6 | 2 | 1 | 0 | 0 | 38 |
こちらは山口大学医学部の2022年度の年齢別入学者の表です。
今回は便宜的に22歳以上の入学者を医学部再受験生とします。
こちらの表では医学部再受験生の合格は男女合わせて8人となっています。
2022年度だけでなく、過去5年間では毎年10人前後医学部再受験生の合格がありました。
全入学者が107人であることを考えると山口大学は医学部再受験生に対して比較的寛容な大学であるといえるでしょう。
山口大学は学士編入での学生受け入れも積極的に行っていることから、優秀な学生は年齢問わずに入学させる方針なのかもしれません。
山口大学は国立医学部の中では比較的狙いやすいことから、医学部再受験生にはおすすめの大学だと思います。
医学部再受験生に対する面接内容
医学部再受験生の中には二次試験での面接の雰囲気、質問内容が気になるという方もいると思います。
受験された方の口コミなどから山口大学医学部の面接内容を紹介していきたいと思います。
山口大学の面接試験は面接官3人、受験生1人で行われ、時間は10分前後、合計2回行われます。
雰囲気はそこまで厳しいわけではなく、受験生の人柄を見ているような感じとのことでした。
実際に質問された内容としては
- 医師を志望した理由
- 高校時代の学習内容
- 山口大学を志望した理由
といった内容が多かったです。
山口大学の志望動機や山口県の魅力、印象といった質問に対してはしっかりと準備しておくようにしましょう。
また、医学部再受験生に対しては
- なぜ医学部再受験をしようと思ったのか
- 医学部再受験をする前の経歴
といった内容が突っ込まれやすいですね。
他の大学で医学部再受験生に聞かれることの多い年下の同期とうまくやっていけそうかという質問と合わせて対策するといいでしょう。
医学部再受験に必要な勉強・対策方法
それではここから、医学部再受験生向けに山口大学医学部の入試で必要な勉強、対策方法について紹介していきたいと思います。
英語
まずは山口大学の英語です。
山口大学では英語の入試問題は他の学部と共通の問題となっています。
そのため私立医学部にあるような難解な文章や医療系の長文というものはほぼ出題されません。
出題形式は大問3つからの構成となっており、大問1,2は長文読解、大問3は会話、メールの穴埋め英作文という形式になっています。
長文読解では和文英訳や文章の読み取り問題など、癖のない問題が中心に出題されています。
難易度もそこまで高くはないのでしっかりと点数を取りたいですね。
大問3は少し個別に対策が必要だと思います。
前後の内容を読み取り、その上で短い文章を英訳したり、自分で文章を考えなければならないので文法、単語の理解と前後の内容を把握する力が問われます。
山口大学の英語は他学部と共通で問題が難しくないので医学部再受験生はなるべくここで点数を落としたくないのですね。
基礎レベルの単語、文法はほぼ完ぺきにした状態で臨みましょう。
大問3の和文英訳は独学だとなかなか間違いに気づきづらいので予備校に通っている医学部再受験生は講師に見てもらうことをおすすめします。
数学
次に山口大学の数学について解説します。
数学の試験は医学部の一部の理系学部のみ別問題となっており、比較的難易度は高いです。
2次試験の中では最も差がつく科目であると思います。
大問4つから構成されており、全問記述式です。各大問3~4つほどの小問から構成されていることが多く、小問が進むにつれて少しずつレベルが上がっていくという構成になっています。
典型問題も出題されますが完答するのは難しく、差が付きやすいです。
医学部再受験生の対策方法としてはまず数学ⅠA、ⅡB、Ⅲのすべての分野の典型問題を完璧にするようにしましょう。
山口大学の入試では様々な分野から出題されており、融合問題が出ることも多いです。
難しい問題でも最初の小問は典型問題であることが多く、最悪完答できなくても得点を稼ぐことができます。
理科
理科は物理、化学、生物から2科目を選択して試験を受けることになります。
特に難しい科目というものはないので医学部再受験生は自分の得意な科目で勝負するのがおすすめです。
物理
初めに山口大学の物理について紹介していきます。
物理は大問4つから構成されており、力学、電磁気、波動などがよく出題されているようです。
問題としてのレベルも標準的で、時間も75分となっているのである程度の物理の実力があればそこまで苦労はしないかと思います。
医学部再受験生は標準レベルの問題集を繰り返し解き、知識や理解の抜け、漏れをなくすようにしましょう。
合格者はほぼ全員が物理で高得点を取ってくると思うので、差をつけられないようにしましょう。
化学
次は山口大学の化学について紹介します。
化学は大問5問からの構成となっており、理論、無機、有機、高分子とほぼ教科書の全範囲から出題されます。
しかし、他の科目と同様に問題自体のレベルはそこまで高くはなく、標準的なレベルの出題がほとんどとなっています。
山口大学の理科は2科目で150分という制限時間になっているのですが、化学は計算問題の出題が少ないこともあり、なるべくここで時間を節約しておきたいですね。
医学部再受験生は物理と同様、標準レベルの問題集を繰り返すことをおすすめします。
問題が標準的なので一問のミスが合格に大きく響いてきてしまうので、基本知識の確認、計算ミスの防止といったところには得に注意しましょう。
生物
最後に生物についてです。
生物は大問5問構成となっています。
遺伝、代謝、ホルモンといったように医学部で問われやすい分野だけでなく、植生や植物ホルモンについての出題など幅広い分野からの出題となっています。
医学部再受験生はつい遺伝やホルモンなど医学に関連する分野ばかり勉強しがちですので注意しましょう。
問題形式は穴埋めや選択問題がちらほらとあるほか、論述量もそこまで多くはありません。
焦らなければ時間に余裕をもって解き終わるかと思います。
医学部再受験生はこちらの科目もまずは全分野標準レベルの問題がしっかりと解けるようにしておくといいでしょう。
理科に関してはほぼ全科目で満点に近い点数が必要となるかと思います。
山口大学の入試情報・選抜概要(2023年向け)
山口大学の受験情報についてです。医学部再受験生はおそらく前期、後期日程の受験がメインになると思います。
前期は55人、後期は10人の募集となっています。受験科目は以下の表のようになっています。
英語 | 国語 | 数学 | 理科 | 地歴公民 | 面接 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
共通テスト | 200 | 200 | 200 | 200 | 100 | 900 | |
二次試験 | 200 | 200 | 200 | 点数化なし | 600 |
山口大学では共通テスト900点、二次試験600点という配点になっており、共通テストの比重が二次試験に比べて大きいです。
なので医学部再受験生はまずは共通テストで高得点を取ることを目標としましょう。
河合塾のサイトでは80%がボーダーとなっているので、それ以上の得点を目標とするといいと思います。
先ほど解説したように、二次試験ではあまり差がつきにくいため、医学部再受験生は共通テストで勝負を決めるような気持ちで臨むといいと思います。
また、山口大学では面接の得点化をしないのも特徴であるといえるでしょう。
合否判定の判断材料とはなるものの、基本的に面接のみの評価で落ちるというのはそこまで多くはないため、医学部再受験生にもおすすめできる大学であると思います。
山口大学の入試結果(2022年度)
次に山口大学の2022年度の前期の入試結果を紹介したいと思います。
募集人数 | 55 |
---|---|
受験者数 | 178 |
合格者数 | 55 |
倍率 | 3.8 |
このような結果となっています。
2021年度の倍率は4.6、2020年度の倍率は3.2となっていたので、例年3~4倍の範囲で推移しているようですね。
医学部再受験生の合格者に関しては先ほど紹介した通りになります。
山口大学は医学部再受験生にも比較的寛容なので共通テストで高得点が取れればかなりチャンスになります。
まとめ
今回は山口大学について、医学部再受験生に対しての寛容度や対策方法について紹介しました。
山口大学は医学部再受験生の合格者が毎年のように出ています。
入試の特徴としては共通テストの比重が高く、面接の得点化がありません。
また、二次試験は標準的な問題が多く、かつ癖のあるような出題も少ないので対策に時間もかかりにくいです。
医学部再受験生にはぜひともおすすめしたい大学です。