医学部再受験が不利にならない!年齢に寛容な大学を紹介
医学部入試においては大学によっては医学部再受験生の合格が厳しい大学があります。
これは、難易度など学力基準だけでなく、年齢などを考慮して合否を判断している医学部もあるということです。
実際に2018年に発覚した東京医科大学の不正入試問題をきっかけに、全国で複数の大学が多浪生・医学部再受験生に対する年齢差別を実施していことが発覚。
そこで、医学部再受験生が合格するためにはどんな大学選びや受験対策が必要なのか。
ここでは、年齢に寛容な大学の見極め方から、医学部再受験の対策法並びにおすすめの医学部予備校まで詳しく解説していこうと思います。
2018年発覚の年齢差別で医学部入試も変わった?
2018年に受験業界に留まらず、社会問題にまで発展した医学部の不正入試問題の記事。
発端は東京医科大学の裏口入学、年齢・女子差別でしたが、その後、文部科学省が全国の医学部を調査した結果、国公立・私立あわせて複数の大学で年齢や性別を理由に不利な入試を実施していことが分かりました。
これまでも、医学部再受験生に不寛容な大学があることは周知の事実でしたが、どれも噂レベル。
大学側が認めたことは初めてで、「やっぱりか」と思った医学部再受験生も多いはす。
そこで、まずは文部科学省が実施した医学部全国調査の資料を踏まえながらこの問題を確認していきましょう。
年度 | 2018年 | 2017年 | 2016年 | ||||||
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年齢区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
18歳以下 | 37634 | 4898 | 13.0% | 37224 | 4737 | 12.7% | 36488 | 4354 | 11.9% |
19歳 | 36353 | 4823 | 13.3% | 35779 | 4803 | 13.4% | 35909 | 4996 | 13.9% |
20歳 | 20230 | 1936 | 9.6% | 20192 | 2022 | 10.0% | 19661 | 2131 | 10.8% |
21歳 | 10247 | 769 | 7.5% | 9937 | 757 | 7.6% | 10612 | 820 | 7.7% |
22歳以上 | 20709 | 983 | 4.7% | 22085 | 1089 | 4.9% | 21839 | 1232 | 5.6% |
上記の調査結果によると2016年から2018年までに実施された医学部入試においては、医学部再受験生が該当する22歳以上の合格率は5%程度になっています。
やはり、現役生や1浪生の合格者が多いことが分かります。
年齢差別を実施していことが発覚した医学部とその後
大学名 | 区分 | 不正入試の内容 | 翌年(2019年)の実施状況 |
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神戸大学 | 国立 | 推薦入試の書類審査で、地域に配慮した配点を実施していた | 地域に配慮した基準を削除、受験生の属性(年齢・性別・出身高)をマスキングした資料を用いて書類審査を実施 |
岩手医科大学 | 私立 | 一般入試の追加合格の際に判定基準が低い受験生が合格していた | 繰上合格は成績順に電話連絡を実施 |
順天堂大学 | 私立 | ①一般A・B、センター利用・併用の各試験において、女子受験生の合否判定が男子よりも高く設定されていた ②一般A方式で、浪人年数によって男子受験生よりも女子受験生が不利に扱われていた ③一般A方式で、学力試験の順位が一定以下の場合、浪人年数が多い受験生は不利に扱われていた |
各試験において、合否判定基準における属性(年齢・性別など)を廃止、面接に女性面接官を配置 |
昭和大学 | 私立 | ①一般二期で、補欠合格者のうち同窓生子女を優先的に合格させていた ②現役生および1浪人生に加点を行っていた |
①同窓生子女優遇の廃止、②現役・1浪の加点を廃止 |
東京医科大学 | 私立 | ①特定の受験生の試験成績を操作し成績順位を高めていた ②関係者の受験生が不合格の基準にもかかわらず、合格になった ③一般補欠合格者の名簿上より上位にいた5名の順位を飛ばして繰上合格を実施していた ④一般・センター利用の二次試験(小論文)において性別や浪人年数に応じて加点を行っていた |
①採点結果の入力は外部監査委員立ち会いのもと、アクセス権限を持った限られた職員が担当
②受験生の氏名や属性を削除した資料を用いて成績順位に基づき合格者を決定 ③繰上合格の連絡は名簿の成績順に電話連絡を実施(補欠合格発表の際に順位も発表) ④一律の加点調整を廃止 |
日本大学 | 私立 | 一般入試の追加合格の際に特定の受験生を優先的に合格させていた | 追加合格者候補には事前に順位を通知し、繰上合格者の連絡は複数者が同席し、成績順に連絡を実施 |
北里大学 | 私立 | 一般入試の繰上合格で、補欠合格者の連絡の際に成績順位ではなく、性別や年齢などの属性を優先していた | 補欠合格者を成績順で決定することを明確化し、順位も通知したうえで、繰上合格の連絡は成績順を厳守 |
金沢医科大学 | 私立 | ①AO入試の推薦書の評価を同窓子女、北陸三県高出身者、現役・1浪に加点 ②補欠合格者の決定の際に年齢を加味 |
①左記の対象者に対する一律の加点を廃止 ②成績一覧表に基づき成績順に電話連絡を実施 |
福岡大学 | 私立 | 調査書の評価において高校卒業年数に応じて一律の際を設けていた | 調査書の点数化を廃止し、面接資料として活用 |
聖マリアンナ医科大学 | 私立 | 調査書の点数化において、年齢や性別等の属性の置いて一律的な差異が設けられていた | 調査書の点数化を廃止し、面接官の段階評価に活用 |
上記のように様々な大学で、多浪生や女子受験生並びに医学部再受験生に対して不利な入試を実施していたことが明るみになりました。
ただし、今回の文部科学省の調査で発覚しなかっただけで、医学部再受験生などに不利な入試を実施しているような大学が他にもあることは考えられます。
医学部再受験生にとっては、やはり継続して入試情報を確認しながら、受験する大学の医学部再受験生に対する寛容度は確認しておいたほうが良いでしょう。
なお、上記の大学については改善がみられているので、今のとこは公正な入試を実施しており、医学部再受験生にもおすすめです。
また、2018年の医学部不正入試問題が発覚して以降、文部科学省は大学入試において、年齢や性別を理由に不利な扱いをすることを禁止する明確なルール化を決定し、全学部に適用されています。
したがって、今後は年齢を理由に不利な入試をすることは禁止対象となり、医学部再受験生にとっては受験しやすい環境へと改善されつつあります。
年齢差別のない医学部が再受験生にはおすすめ
医学部受験においては、大学によっては医学部再受験の合格が厳しい大学があります。
これは、難易度など学力基準だけでなく、年齢などを考慮して合否を判断している医学部もあるということです。以前、群馬大学医学部では合格点に達しているにもかかわらず、50代主婦が面接で不合格となったケースがありました。
この問題は裁判にも発展しましたが、証拠不十分のため医学部再受験生である原告側の請求は棄却されましたが、実に後味の悪いケースでした。
また最近では、東京医科大学や昭和医科大学が現役生や1浪生に加点を与えるなどして、医学部再受験生に不利となる入試を行っていたことも発覚しています。
年齢差別も改善されつつあり、医学部再受験に寛容な大学が多い傾向ですが、いつ再び悪化するかは分かりません。
これまでと同じように医学部再受験生は最新の入試情報を入手して見極めていくことが重要です。
「国公立大学」医学部の再受験寛容度
①医学部再受験生にとても寛容な国立大学 |
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東京大学、山梨大学、富山大学、岐阜大学、三重大学、滋賀医科大学、奈良県立医科大学、大阪大学、岡山大学、香川大学、九州大学、熊本大学 |
②医学部再受験生に寛容な国立大学 |
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東北大学、新潟大学、山形大学、福井大学、信州大学、金沢大学、横浜市立大学、名古屋大学、名古屋市立大学、神戸大学、島根大学、高知大学、大分大学、長崎大学、宮崎大学、琉球大学 |
③医学部再受験生に厳しい国立大学 |
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北海道大学、旭川医科大学、札幌医科大学、弘前大学、秋田大学、福島県立医科大学、群馬大学、筑波大学、千葉大学、東京医科歯科大学、防衛医科大学、浜松医科大学、京都大学、京都府立医科大学、大阪市立大学、和歌山県立医科大学、広島大学、鳥取大学、愛媛大学、徳島大学、山口大学、佐賀大学、鹿児島大学 |
「私立大学」医学部の再受験寛容度
①医学部再受験生にとても寛容な私立大学 |
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帝京大学、日本医科大学、東京医科大学、金沢医科大学、大阪医科薬科大学、近畿大学、久留米大学、東北医科薬科大学、国際医療福祉大学 |
②医学部再受験生に寛容な私立大学 |
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杏林大学、藤田医科大学、岩手医科大学、聖マリアンナ医科大学、東海大学、愛知医科大学、関西医科大学、福岡大学 |
③医学部再受験生に厳しい私立大学 |
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埼玉医科大学、自治医科大学、慶応義塾大学、順天堂大学、東京慈恵会医科大学、昭和大学、東邦大学、北里大学、日本大学、東京女子医科大学、独協医科大学、兵庫医科大学、川崎医科大学、産業医科大学、防衛医科大学校 |
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年齢別の合格者内訳を公表しているような大学
(急に非公表にした場合は注意) -
30代の合格者が多いとネット情報が豊富な大学
(古い情報は注意) -
年齢差別が発覚した大学
(改善しているケースが多い)
面接試験は避ける方法はない
医学部再受験生は年齢やそれまでの経歴のことを聞かれるため、面接試験を回避したいと考える学生が昔からたくさんいました。
したがって、面接試験の実施していない国立大学は医学部再受験生から非常に人気が高かったです。
しかし、2020年に九州大学医学部が面接試験を採用してから、全医学部で面接試験が課されることに。
もはや、医学部再受験生が面接試験を免れる方法はありません。
面接試験を実施する理由はいくつか考えられますが、やはり学力だけでなく医師としての素養や人物象が重視されるからです。
東京大学理科3類では、1999年から2007年度まで面接試験を実施していましたがそれ以降は廃止し、2018年に再復活ということになります。
面接試験の復活理由は、医師としての資質や適性並びに動機付け、そしてコミュニケーション能力などを判断する必要があるためと発表しています。
腕試し感覚で医学部に入学してくる受験生を排除したり、チーム医療が重視される現代医療にマッチする受験生など、学力試験だけでは分からない部分を面接でチェックしているのです。
したがって、ただ年齢を理由に不合格になることはほとんどなく、事実、医学部再受験生が毎年誕生していることを考えると、面接試験をそこまで深刻に考える必要はありません。
昔から医学部再受験生に寛容なことで有名な滋賀医科大学も面接試験を実施していますが、多くの医学部再受験生が合格しています。
筆記試験と同様に事前にしっかりと準備・対策しておけば、医学部再受験生でも高得点を取ることは可能です。
新設の医学部再受験生に対する寛容状況
2016年度入試から新設医学部である東北医科薬科大学の募集が始まり、再受験生も初年度は躊躇した人もいるかもしれません。
しかし、2016年度の入試結果だけを見ると年齢については非常に寛容でした。
東北医科薬科大学としてもまずは優秀な生徒の確保に努め、6年後の医師国家試験で高い合格率を実現し、大学としての評価を上げることを優先しているようです。
22018年度実施分までを確認してもまだまだ医学部再受験生には受験しやすい医学部の1つとして見て取れることあ可能です。
したがって、今のところは年齢よりも学力重視の傾向があり医学部再受験生に寛容な大学としておすすめとなります。
ただし、今後は方針転換もあり得るため、医学部再受験生は毎年の入試結果には注視しておく必要があります。
国際医療福祉大学医学部の年齢寛容度
2016年度入試から新設医学部である東北医科薬科大学の募集が始まり、再受験生も初年度は躊躇した人もいるかもしれません。
しかし、2016年度の入試結果だけを見ると年齢については非常に寛容でした。
2017年に開学した国際医療福祉大学も同様に最初の入試では、2浪以上が4割近く占めるなど、こちらも医学部再受験生にとって受験しやすい医学部です。
両大学については、まず優秀な生徒の確保に努め、6年後の医師国家試験で高い合格率を実現し、大学としての評価を上げることを優先することが考えられます。
医師国家試験合格率は大学内外へのアピールにつながるだけでなく、補助金にも影響してくるため、歴史の浅い2大学は実績作りを今は行っているのでしょう。
したがって、今のところは年齢よりも学力重視の傾向があり医学部再受験生に寛容な大学としておすすめとなります。
ただし、今後は方針転換もあり得るため、医学部再受験生は毎年の入試結果には注視しておく必要があります。
文部科学省が調査したデータで確認
文部科学省が2018年に実施した不正入試の全国調査の資料で、2018年度の国際医療福祉大学と東北医科薬科大学の入試結果を確認してみましょう。
大学名 | 年齢区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
国際医療福祉大学 | 18歳以下 | 992 | 76 | 7.7% |
19歳 | 1057 | 144 | 13.6% | |
20歳 | 535 | 56 | 10.5% | |
21歳 | 225 | 24 | 10.7% | |
22歳以上 | 443 | 20 | 4.5% | |
東北医科薬科大学 | 18歳以下 | 300 | 27 | 9.0% |
19歳 | 520 | 79 | 15.2% | |
20歳 | 337 | 56 | 16.6% | |
21歳 | 172 | 22 | 12.8% | |
22歳以上 | 344 | 43 | 12.5% |
上記のように両大学とも医学部再受験生が該当する22歳以上の年齢区分で二桁の合格者を輩出。
特に東北医科薬科大学は合格率が10%を超えており、医学部再受験生にも受験しやすい大学であることが分かります。
年齢で不利になることがないので、学力さえあれば医学部再受験生でも合格が十分狙える大学と言えるでしょう。
- 新設医科大学(国際医療福祉・東北医科薬科)は医学部再受験生に寛容的
年齢に厳しい医学部は避けるべき
医学部再受験生にとって医学部合格は、現役生や一浪生などと比べると不利と言わざるを得ません。
ネット上のブログサイトや2chなどの掲示板でも医学部再受験に失敗した人の悲惨な末路や結果を沢山見つけることができると思います。
医師になるまでには6年間の医学部教育に加え、2年間の臨床研修を受けないと臨床医として勤務できないため、合計で少なくとも8年の時間を要することになります。
30歳で医学部に合格した場合は、臨床医になる頃には40代に突入する38歳と新米医師としてはかなり高齢です。
医師という職業は体力的・精神的にもハードな仕事であるため、年齢が高い医学部再受験生は敬遠されがちです。
また、国公立医学部の場合は医学部6年間の総額費は300万円程度で済みますが、それは国からの税金によって賄われているからです。
そのため、長期的な医師としてのキャリアが積める現役生や1、2浪生を好む医学部があります。
近年は、様々なバックグラウンドを持つ医学部生を集める動きもありますが、そういった大学は学資編入などで募集しています。
したがって、一般入試はやはり年齢が不利に働くこともあるため、医学部再受験生は「年齢に厳しい」大学は避けるほうが賢明といえます。
年齢を理由に群馬大学医学部を不合格になった50代主婦の訴訟事例
2005年に群馬大学医学部を不合格となった50代の主婦が、年齢を理由に不合格になったのではないかと訴訟沙汰になったケースがあります。
判決結果から紹介すると年齢差別があったかどうかについては、原告の主張が退けられる結果となりました。
争点となったのは、面接試験が合否判定に影響したかのことでしたが、これについては明らかになりませんでした。
群馬大学の場合、センター試験と学科試験、小論文、面接、調査書による総合的な判断によって合否が判定されています。
筆記試験では合格者平均点を上回っていたので、原告の主張では面接で不合格になったとしか考えられないということです。
そこで、面接の点数化、判定基準を明らかにするよう大学側に求めましたが、大学側は今後の入試に影響を及ぼすことを理由に応じませんでした。
また、入試担当者からは「医師として社会に貢献できる人材を育成するのが国立大学の使命であるが、それを実現するには年齢的に問題がある」と言われたと主張しましたが、判決では証拠がないとみなされました。
結果的にこのケースは、年齢が原因で不合格になったのか否かが明らかになりませんでしたが、医学部再受験生をはじめ多くの人から注目を集めました。
現在は、上記でも紹介した通り、年齢や性別を理由に不利な扱いをすることを禁止する明確ルール化を決定し、医学部を含む全学部の大学入試に適用されています。
したがって、群馬大学のようなケースが今後起きる可能性は低いと考えられます。
合格できる可能性がある医学部を目指す
医学部再受験生は、「行きたい医学部」を目指すのではなく「合格できる医学部」を目指すことが一番の近道となります。
学費が安い、ブランド力や立地など様々な理由で志望大学は決まりますが、医学部再受験生には時間がありません。
志望校があっても年齢条件が厳しかったり、難易度が高かったりした場合、時間だけが過ぎていきより不利になってしまいます。
医学部合格を1年でも早く実現できれば、医師になる年齢もそれだけ若くなり長期的なキャリアプランはもちろん、勉強に投資した学費などを早く回収することも可能になります。
合格できる医学部は、年齢に寛容かどうかを見極めるのはもちろんですが、入試の出題傾向をしっかりと過去問などを通じて把握することが重要です。
得意科目の配点比率が高い、自分が得意とする分野が毎年出題されているなど、入試本番で自分の力を一番発揮できる医学部を探し出しながら出願校を選んでいくと良いでしょう。
ただし、自分で各大学の入試傾向などを全てチェックするのは多くの時間を割く必要でてくるため、医学部再受験の実績が数多くある医学部予備校に在籍する方が最適なアドバイスをもらうことができます。
- 得意科目の配点比率が高い
- 出題範囲で得意な分野が多い
- 自分の学力の範囲内
- 年齢に比較的寛容
私立大学医学部も視野に入れる
医学部再受験生は、私立の高額な学費を理由に国公立大学に絞っている人が多い傾向にあります。
ただし、私立と違い国公立の場合は共通テスト(旧センター試験)で文系科目も対策が必要になるため、学習量も多いだけでなく、共通テストで得点率を突破しても二次試験で失敗するリスクがあります。
国公立は前期・後期の2回しか挑戦できないうえ、後期は難易度が高くなるため合格を勝ち取るには非常に難易度が高くなります。
国公立大学医学部は、競争率が高く難易度も非常に高いため医学部再受験生の場合は、一発合格する人も中にはいますが、多くは数年を要しても合格できずにドロップアウトしています。
いっぽう、私立大学医学部なら受験日程が重ならければ併願受験も可能なので、より合格できる可能性を高くすることができます。
また、私立大学医学部の場合は、数学と英語と物理・化学・生物といった理科科目で受験できるため科目に絞って学習に専念できるため、医学部再受験生であっても短期間でより学力を伸ばすことが可能です。
私立大学医学部の学費は高額ですが医学部に入学できるチャンスは断然高まるため、医学部再受験生は志望校の候補に入れることをおすすめします。
ただし官立医科大学は避ける
官立医科大学とは、自治医科大学・産業医科大学・防衛医科大学校の3校のことを言います
卒業後に指定された医療機関に9〜12年程度従事することで、自治医科大学および防衛医科大学校は学費全額免除、産業医科大学は大幅免除が受けられます。
国公立大学医学部よりも経済的負担が軽くなり、防衛医科大学校に至っては給与まで支給されるので親に頼れない医学部再受験生にとっては非常に魅力的ですが、年齢には非常に厳しいので回避することをおすすめします。
といのもこれらの大学は税金が多額に投入されて運営されているため、医学部再受験生よりも医師としてより長く医療貢献できる年齢の若い受験生が好まれているからです。
医学部再受験生だけでなく年齢を重ねた多浪生でも厳しいと言われています。
学力や経歴に自信がある医学部再受験生であれば併願校の1つとして挑戦する価値はありますが、そうでない医学部再受験生は他校を受験する方が合格できる可能性は高まります。
地域枠は医学部再受験生も受験可能か
医学部で募集されている地域枠で合格できれば、6年間の学費相当額あるいはその一部が奨学金として自治体から貸与されます。
しかも、卒業後に一定期間(9年程度)、指定された医療機関で医師として働けば返済不要となるため、実質学費が無料で私立の医学部に通えることになります。
卒業後の進路が自由ではなくなるものの、高額な私立医大の学費が実質無料になるのは、国公立を目指す医学部再受験生にも魅力的ではないでしょうか。
ただし、地域枠を設けている医学部は多いですが、出願資格に年齢制限を設けていることが多く、実質1浪までが多いのが現実です。
3浪以上で地域枠を募集している医学部は国公立と私立を合わせても少なく、挑戦できる医学部再受験生は限られてしまいます。
医学部再受験も利用可能な奨学金制度
私立大学医学部で最も学費が安い場合でも6年間総額は2000万円となっており、国立300万円に比べると非常に高額です。
そこで多くの医学生は国や各医学部で用意されている奨学金制度を活用して高額な学費に備えています。
奨学金には、給付型と貸与型の2種類があります。
給付型は、返済不要の奨学金であり入試成績優秀者、学業成績優秀者、または地域枠など都道府県から支給されるケースがあります。
ただし、自治体などから支給される給付型の奨学金は、返済不要の代わりに卒業後は指定された医療機関で医師として一定期間(9年ほど)働く必要があります。
自治医科大学や産業医科大学は給付型と同じ制度で学費の全額・一部免除を行っていますが、自治医科大学は年齢に寛容ではない部類に該当しているので、産業医科大学のほうがまだ再受験生には目指しやすいでしょう。
いっぽう貸与型は、卒業後返済が必要な奨学金で日本学生支援機構や大学独自の奨学金があります。
日本学生支援機構の奨学金の場合、医学部生は月額最大16万円まで貸与してくれるので、6年間に換算すると1152万円となり、2000万円の医学部であれば半額を補てん可能という計算になります。
ただし、授業料以外にも書籍代などが高額になりがちなうえ、卒業後は利率も発生するので計画的に借りることが重要です。
ちなみに日本学生支援機構では、無利子で最高65,000円まで貸与する第一種奨学金もありますが、こちらは利子がない代わりに審査は厳しめです。
第一種 | 第二種 | |
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貸与額(月額) | 最高65,000円 | 最高160,000円 |
利子 | 無し | 有り(最大3%) |
世帯年収の上限 (世帯数によって異なる) |
最高904万円 | 最高1,313万円 |
学力基準 | 高校の平均評定3.5以上 | 高校の学業成績が平均以上 |
学力を伸ばすのが先決
医学部再受験生は、受験勉強から遠ざかっていることもありやはり現役生や1浪生などと比較して学力が劣っています。
したがって、医学部再受験生は年齢条件を心配する前に、まずは医学部合格に必要な学力を身に着けることが重要です。
独学で医学部再受験を目指す人も多いようですが、学習の効率性と偏差値アップの確実性を求めるためには専門予備校を利用することをおすすめします。
学費を抑えたい医学部再受験生も多いと思いますが、大手予備校はサポート体制があるものの基本的に生徒一人ひとりに対する充実度が劣ってしまいます。
勉強方法が分かっている医学部再受験生や、自分で学習管理ができる人は大手予備校でも医学部を十分目指せますが、それ以外の医学部再受験生は医学部予備校がおすすめです。
医学部予備校は、厳格に学習管理を行いながら少人数教育で丁寧に指導してもらえるため、自己管理が苦手な医学部再受験生でも豊富な学習量と授業量を確保できます。
あと、年齢が高い又は経歴がないからと面接を嫌う医学部再受験生が多いですが、今では九州大学医学部を除いて全ての医学部で実施されており不可避な状態です。
面接試験で多少評価や点数が悪くても学力試験で高度な成績があれば医学部合格は実現できます。
さらに、面接試験では年齢よりも医師として相応しい人格であるかを確認するために設けられている大学がほとんどです。
現代は、患者さん側によりそって医療を提供したり、チーム医療が叫ばれたりする時代なので、コミュニケーション能力があるかを重視する傾向にあります。
年齢に関係なくそういった素質があるか、また、医師としての動機づけを早期から実施する目的で面接試験を導入している医学部が多いようです。
もちろん、年齢差別を行う医学部は面接試験で不合格にできるよう実施しているかもしれませんが、医学部再受験生はそういった医学部は受験しなければ良いだけです。
したがって、医学部再受験生は学力を伸ばすことを最優先に考え、面接試験は医学部予備校などで対策していけば年齢や経歴を十分にカバーすることができます。
最新の入試動向に注意し医学部再受験に寛容な大学選びを!
今まで医学部再受験に寛容であった大学が、現役生や1浪生重視の入試路線へ変更するケースが最近多くなってきているので注意が必要です。
例としては、小論文の非点数化、面接試験の導入、合格者の成績開示の廃止、現浪比率の非公開化,二次試験の加点変更などが挙げられます。
また、近年の傾向としては、一般入試の定員枠を減らして推薦枠を増やす医学部が多く、推薦入試の受験資格のない医学部再受験生にとっては致命的な問題です。
最新の入試データや情報は、医学部予備校が豊富に蓄積しているため、信頼性の低いネット上の情報を信用する前に、まずは講師やスタッフに相談すると良いでしょう。
年齢に寛容な医学部は、滋賀医科大学、帝京大学、聖マリアンナ医科大学など、まだまだ数多くあるので、医学部再受験生でも医学部合格は十分目指すことが可能です。
なお、3浪以上の合格者が4割以上を占めていたのに、現役や1浪生の合格比率が増えてきた場合は注意しましょう。
医学部再受験生におすすめの国公立大学
三重大学
大学名 | 三重大学 |
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所在地 | 三重県津市江戸橋 |
募集定員 | 75名 |
倍率 | 5.2倍 |
河合塾偏差値 | 65 |
駿台偏差値 | 64 |
平均偏差値 | 64.5 |
学科試験科目(二次試験) | 数学、英語、理科2科目 |
共通テスト配点 | 数学100、国語100、英語100、社会100、理科200 |
2次試験配点 | 数学200、英語200、理科200(各100)、面接100 |
総点 | 1300点 |
最高点 | 1087点 |
平均点 | 1003.14点 |
最低点 | 950点 |
数学 | 大問4つに対して120分。問題の難易度は決して難しくなくむしろ平易ではあるが高得点が求められるタイプ。微積分は頻出。 |
英語 | 大問3つに対して80分。どれも長文問題の形式であり、和訳・並び替え・選択肢問題など様々な出題形式をとる。文章自体は平易なため高得点争いとなる。 |
物理 | 理科2科目で合計150分。大問5つで構成され、理解学・電磁気・波動・熱力学の典型問題が出題される。問題の難易度は平易であり、扱う現象自体も基礎的なものを中心としている。 |
化学 | 理科2科目で合計150分。大問5つで構成され、全分野にわたってまんべんなく出題されるが、難易度は平易。しかし時間的にはやや厳しいとみられる。 |
生物 | 理科2科目で合計50分。大問5つで構成され、遺伝以外の全分野を網羅している。知識問題と論述問題ベースの形式であるが、時折高度な実験を扱う問題を出題してくることも。やや難の問題が出題される可能性があるので注意。 |
面接 | オーソドックスな質問のみで圧迫感は全くない。 |
医学部再受験生に対して | かなり寛容 |
福井大学
大学名 | 福井大学 |
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所在地 | 福井県吉田郡永平寺町 |
募集定員 | 55名 |
倍率 | 6.72倍 |
河合塾偏差値 | 62.5 |
駿台偏差値 | 62 |
平均偏差値 | 62.25 |
学科試験科目(二次試験) | 数学、英語、理科2科目 |
共通テスト配点 | 数学200、国語200、英語200、社会100、理科200 |
2次試験配点 | 数学200、英語200、理科200(各100)、面接100 |
総点 | 1600点 |
最高点 | 1330点 |
平均点 | 1244点 |
最低点 | 1194点 |
数学 | 大問4つに対して110分。数Ⅲ微積や複素数平面が頻出で、誘導は丁寧だが問題はやや難レベル。 |
英語 | 大問4つに対して110分。3題が長文で、特に小説読解の問題は文章も設問も難しい。残りの1題は平易な自由英作文という形式。全体的にやや難。 |
物理 | 理科2科目で120分。大問2つで難易度は平易だが、傾向がないことが傾向。直近では原子が出題されたり、力学・電磁気が出題されないこともあったので要注意。 |
化学 | 理科2科目で120分。基本的には大問3題で標準からやや難レベルの問題が並ぶ。時間に対し設問数が多いことや、大問の数が変わることもあるので要注意。 |
生物 | 理科2科目で120分。大問3つで、難易度は平易から標準。傾向として分子生物とホメオスタシスは必出といえるので対策すべき。 |
面接 | 10分間の面接で、オーソドックスな質問が多い。ただし福井に残るつもりはあるかどうかの質問はされうる。 |
医学部再受験生に対して | 寛容 |
名古屋大学
大学名 | 名古屋大学 |
---|---|
所在地 | 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町 |
定員 | 90名 |
倍率 | 1.7倍 |
河合塾偏差値 | 67.5 |
駿台偏差値 | 70 |
平均偏差値 | 68.75 |
学科試験科目(二次試験) | 数学、英語、理科2科目、国語 |
共通テスト配点 | 数学200、国語200、英語200、社会100、理科200 |
2次試験配点 | 数学500、英語500、理科500(各250)、国語150 |
総点 | 2550点 |
最高点 | 2289点 |
平均点 | 1949.29点 |
最低点 | 1807点 |
数学 | 大問4つに対して150分。やや難から難レベルの問題が並び一言でいえば重い問題が多い。誘導は多く、また確率漸化式と数Ⅲ微積・極限が頻出なので対策はしやすい。 |
英語 | 大問4つに対して105分。そのうち3題は長文問題で、文章の難易度は易しめだが長いため速読力が必要。残りの1題は典型的な自由英作文であり、総合的にみると旧帝の割に易しめ。 |
物理 | 理科2科目で150分。大問3題構成で、力学・電磁気が1題ずつ、残りの1題が波動or熱力学といった形式。年によって難易度の変動が大きく、激難の時は誰も解けず、易しめの時はみんな解けるためあまり差がつかない。 |
化学 | 理科2科目で150分。大問5題構成で理論2題、無機1題、有機1題、高分子が1題の形式を続けている。易しめから標準レベルの問題が多いが、時間に対して問題量がかなり多いので時間配分に要注意。 |
生物 | 理科2科目で150分。大問4題構成で全分野を網羅する形で出題される。複数の分野を絡めた問題が多く対策は必要だが、問われる知識は標準レベル。考察問題はやや発想が難しいものもあるが、そこまで差がつかないとみられる。 |
国語 | 45分で現代文1題のみの出題。文章内容は標準からやや難なのに対し、設問の記述は抽象的でかなり難しい。漢字の出題が10問分あるのでそこを死守することが大事。 |
面接 | 5から10分で終わり、ほぼ世間話しかされない。最近はコロナウイルスの関係で3年連続実施していない。 |
医学部再受験生に対して | かなり寛容 |
医学部再受験生におすすめの私立大学
久留米大学
大学情報や入試情報を表でまとめて下さい
大学名 | 久留米大学 |
---|---|
所在地 | 福岡県久留米市旭町 |
定員 | 75名 |
倍率 | 20.9倍 |
河合塾偏差値 | 65 |
駿台偏差値 | 57 |
平均偏差値 | 61 |
学科試験科目(1次試験) | 数学、英語、理科2科目 |
試験配点 | 数学100、英語100、理科200(各100)、面接50、小論文50 |
総点 | 500点 |
最低点 | 321点 |
数学 | マーク式で90分に対して約7題構成であり、どの問題も標準レベル。パターン問題が多いので処理能力が求められ、微積・極限・ベクトルが頻出。 |
英語 | 90分で約6題構成であり、文章・設問ともに比較的平易ではある。しかし要約問題に関しては一筋縄ではいかないので対策が必要。 |
物理 | 理科2科目で120分。大問3つ構成で、最初の2題は力学・電磁気で長らく固定されている。典型問題しか出題されないのでケアレスミスに注意すべき。 |
化学 | 理科2科目で120分。大問3~4題の出題で、理論・無機・有機が同じくらいの比率で出題される。基礎から標準の典型題メインなので高得点争いとなる。 |
生物 | 理科2科目で120分。大問4題で、平易な知識問題がほとんどであり、高得点争いとなる。分野も分子生物とホメオスタシス・神経が頻出なので対策しやすい。 |
小論文 | 私立医学部特有の、典型的な医療系小論文であり、ある意味対策はしやすい。医療の在り方、というテーマが多い傾向にある。 |
面接 | オーソドックスな質問が多く、15分とやや長めだが終始温和な雰囲気。面接点の公開もしており、不正はしていないとみられる。 |
医学部再受験生に対して | 寛容 |
順天堂大学
大学名 | 順天堂大学 |
---|---|
所在地 | 東京都文京区本郷 |
定員 | 64 |
倍率 | 29.5倍 |
河合塾偏差値 | 70 |
駿台偏差値 | 65 |
平均偏差値 | 67.5 |
学科試験科目(1次試験) | 数学、英語、理科2科目、小論文 |
試験配点 | 数学200、英語200、理科200(各100)、面接、小論文 |
総点 | 500点 |
最高点 | 437点 |
最低点 | 314点 |
数学 | 70分に対して大問3つ。難易度は標準からやや難で、特に数Ⅲの微積が頻出。時間に対する問題量が多いのでスピードを意識する必要あり。 |
英語 | 80分に対して大問5つで、圧倒的に時間が足りない。大問4つが長文読解であり、残りの1つが英作文の形式で、問題そのものは平易だが間に合うかが怪しい。 |
物理 | 理科2科目で120分。大問2つから構成されますが、大問1がさらに3つに分かれていて、実質4題分あるので時間に余裕はない。原子物理が含まれるので独自の対策が必要となる。 |
化学 | 理科2科目で120分。大問は2題でどちらも理論分野を中心としている。難問はない代わりに時間が足りないので、普段の演習でもスピードを意識するべき。 |
生物 | 理科2科目で120分。大問は2題であり、傾向として植物生理が頻出。難易度はそこまでだがやはり分量が多く、時間との勝負となる。 |
小論文 | 70分で一枚の絵・写真を見て思ったことを800字以内で述べるというもの。ややとっつきにくいが、医系小論文というより通常の小論文の対策が必要となる。 |
面接 | 面接は人柄や実績を見るため、20から30分と長めの時間行われる。圧迫ではないが、温厚でもなく淡々と見られる。 |
医学部再受験生に対して | かなり寛容(ただし、一時的なものとみられる) |
大阪医科薬科大学
大学名 | 大阪医科薬科大学 |
---|---|
所在地 | 大阪府高槻市大学町 |
定員 | 79名 |
倍率 | 20.4倍 |
河合塾偏差値 | 67.5 |
駿台偏差値 | 65 |
平均偏差値 | 66.25 |
学科試験科目 (二次試験) |
数学、英語、理科2科目、小論文 |
2次試験配点 | 数学100、英語100、理科200(各100)、小論文、面接 |
総点 | 400点 |
最低点 | 238点 |
数学 | 100分に対して大問5つで、難易度は偏差値の割に抑えめ。時間についても余裕はあり、じっくり考えることができる。確率と数Ⅲ微積・整数は頻出。 |
英語 | 80分で大問3つ構成からなる。そのうち2つは長文であり、文章は難しいが下線和訳主体なのでそこまで困らない。大問3は和文英訳であり、こちらも標準的な難易度。 |
物理 | 理科2科目で120分。基本は力学・電磁気1題ずつでもう1題が他分野からの出題となる。典型問題は多いが計算はやや煩雑で時間が厳しい。 |
化学 | 理科2科目で120分。大問4題構成でどの分野もまんべんなく出題されるが、理論がやや多め。難易度は基本からやや難まで幅広く、時間的には厳しい。 |
生物 | 理科2科目で120分。大問4題構成でどの分野もまんべんなく出題される。知識問題よりも考察が多めであるため、苦手な人には難易度以上に難しく感じうる。 |
小論文 | 60分で課題のテーマに沿っ手意見を述べる普遍的な小論文。決して医療系テーマだけではなく、現代社会の構造などについても問われるので日頃から興味を持っておくとよい。 |
面接 | 15分程度で基本的な質問に加え、1次試験で書いた小論文の内容についての質問がされることがあるので注意が必要。雰囲気は温和。 |
医学部再受験生に対して | かなり寛容。45歳の再受験生が合格した事例もある。 |
医学部再受験生でも合格実績が豊富な医学部予備校
医学部再受験生の中には独学でやろうと考える人も多いですが、医学部再受験はそこまで甘くありません。
社会人が独学で医学部再受験を目指すのは非常に危険で失敗する確率が高いのが現実です。
医学部再受験では、将来への投資だと思い、医学部予備校で学ぶことが合格への近道です。
医学部に合格して医者になれればお釣りが出るくらい回収することができます。
【東京】
四谷メディカルには、多浪生や医学部再受験生の指導実績が豊富な講師陣が集まって新たに設立された東京・麹町にある専門予備校。医学部再受験生の指導ノウハウを熟知しており、これまで多くの生徒を1年で医学部合格へと導いています。手取り足取り親身になってサポートしてくれるので、勉強ゼロからでも短期間で飛躍的に学力を伸ばすことが可能です。
特徴 | 詳細 | 公式HP |
---|---|---|
医学部再受験生の指導実績豊富な講師が多数在籍 |
代官山MEDICALは、医学部予備校の中でも数少ない医学部再受験生向けのコースを設置しているのが特徴。医学部再受験生を募集している専門予備校は多いですが、専用のコースを設置しているところは希少です。豊富な実績やノウハウのもと医学部再受験に特化した指導やサポートを提供してくれるので、多くの生徒が合格を実現。代官山MEDICALは1校舎からの医学部進学者数がトップクラスですが、医学部再受験生もこれに続いています。
特徴 | 詳細 | 公式HP |
---|---|---|
医学部再受験コースを設置して専門的なサポートを提供 |
【名古屋】
KGSは、名古屋で多くの医学部進学者を輩出している注目の少人数制予備校です。医学部合格者が多く、しかも学費がリーズナブルなので社会人など再受験生にとっては非常に助かります。医学部再受験生でも本気で合格を目指す人は全力でサポートすることを約束しています。寮は所有していませんが、名古屋以外にも中部圏内在住の受験生はおすすめの医学部予備校です。ただし、人気が高く募集締切のコースが多いので、興味がある人は早めに問い合わせることをおすすめします。
特徴 | 詳細 | 公式HP |
---|---|---|
学費が安いのに医学部進学実績が高い |
【大阪】
医進の会は、リーズナブルな授業料で圧倒的な授業力を誇るプロ精鋭講師による一対一の個別指導を行う大阪の専門予備校です。プロ講師の授業力充実度、受験サポート充実度、医学部再受験生サポート力満足度の3部門で2年連続1位を獲得しており、信頼できます。個々の実力に合わせてオーダーメイド形式でカリキュラムを練るので、最短距離での合格を目指すうえで医学部再受験生におすすめです。
特徴 | 詳細 | 公式HP |
---|---|---|
関西の医学部に強い個別指導専門予備校 |
【福岡】
安易な理由で医学部再受験は禁物
ただでさえ年々医学部受験の難易度は上がっているにもかかわらず、高校あるいは中学から医学部を目指して勉強しているライバルにゼロからのスタートである医学部再受験生が合格を勝ち取るには並大抵以上の努力が必要になります。
大学に進学したものの先行き不透明な将来を悲観し中退で医学部を目指そうと決意したり、就職したけれどイメージしたような待遇や地位に恵まれず医学部を目指そうと思う医学部再受験生が見受けられます。
ただし、医学部合格はそんな安易な考えでは合格できないということを最初に理解しておいたほうが良いでしょう。
医学部再受験生の多くは年齢に寛容かどうかの前に、最後まで医学部に必要な学力を身につけられずにドロップアウトしてしまいます。
なかには大学や仕事と両立しながら勉強してやっぱり無理だと思い、在籍している大学や仕事に戻る医学部再受験生は結構多いです。
戻る場所があるならまだ良いものの、医学部再受験に専念するために会社を辞めてしまった場合は、再就職も難しく厳しい現実に直面するリスクがあります。
医学部再受験を本気で目指すのであれば、誰よりも努力する覚悟が必要です。
そして、1人で考え込まず医学部予備校など受験のプロに相談することも1つの方法です。
その場合、厳しい現実を教えてくれた上でアドバイスをくれる医学部予備校のほうが信頼できます。
予備校も経営の立場上、医学部再受験生を甘い言葉で勧誘してくるかもしれませんので口車に乗ってしまわないよう注意しましょう。
25歳以下の医学部再受験生ならAOや公募推薦もおすすめ
医学部再受験だからと言って一般入試以外の方法を諦めている人もいるかもしれませんが、入試制度は各大学によって異なります。
公募推薦やAO入試の場合、4浪まで出願可能な私立大学や、金沢医科大学にあたっては25歳以下なら総合選抜(AO入試)を受験することが可能です。
したがって、医学部再受験生の中でも一般入試以外で医学部を挑戦できることが可能なので、積極的に受験していくことをおすすめします。
一般入試以外に推薦入試や総合選抜など選択肢を増やすことで、より医学部再受験での合格のチャンスを高めることが可能になります。
ただし、以前までは年齢制限なしの推薦入試を取り入れていた私立大学医学部もいくつかありましたが、年齢制限なしの推薦入試を廃止したり、年齢制限を導入したりなど、現役生や1浪生までを条件に入試制度をシフトさせている大学が年々増えている傾向にあります。
25歳以下なら受験可能な金沢医科大学も、いつまで医学部再受験生が対象となる年齢で推薦入試を続けるかは分からないので、注意が必要です。
そのため、医学部再受験生は金沢医科大学のような対象年齢の広い推薦・総合選抜を行っている寛容な医学部を把握し、志望校の一つに組み入れることは医学部再受験を成功させるうえでの計画として外せないものともいえます。
対象年齢が広い医学部推薦・総合選抜まとめ(2022年度)
2浪以上を対象とした推薦入試は多くはありませんが、4浪以上なら他学部在籍者などの医学部再受験生なら受験資格があるかもしれません。
一般入試と併願することで合格の可能性を高めることができるので、医学部再受験を目指す人は検討してみると良いでしょう。
ただし、地域枠の場合、卒業後のキャリア形成において希望の診療科や勤務地に必ずしも選択できないということを留意しておくことは必要です。
また、地域枠では違約金を払えば抜け出すことが可能で、昔は違約金を払うことで他の学生と同様にキャリア形成を行うなどの抜け道がありましたが、現在は地域枠離脱が大きな問題となっており、現状はほぼ不可能となっています。
よって安易に地域枠を受験するといった心構えで臨むのは危険であり、面接でもその点についてきちんと理解しているかを聞かれるので注意が必要です。
以下の表は2022年度入試における、対象年齢の広い推薦・総合選抜入試を行っている医学部をまとめたものです。
新潟大学医学部や川崎医科大学医学部では年齢に寛容な入試制度が導入されていますが、どちらも出身高校の地域が限定されていたりするので、その点については必ず各大学のホームページを参照して確認しておくことが必要です。
国公立・私立によらず、比較的年齢に寛容な入試制度を取り入れている大学はまだありますから、医学部再受験生はチェックをしておくべきです。
大学名 | 区分 | 対象 | 定員 | 備考 |
---|---|---|---|---|
新潟大学 | 国立 | 3浪まで | 33名 | 地域枠(うち22名は新潟県内出身者限定、11名は出身地問わず出願可能) |
京都府立医科大学 | 公立 | 4浪まで | 7名 | 特別選抜 |
金沢医科大学 | 私立 | 25歳以下 | 21名 | 総合選抜(旧AO入試) |
川崎医科大学 | 私立 | 4浪まで | 約20名 | 特別推薦( 中国・四国出身者限定) |
30代でも医学部再受験は可能か?
医学部再受験をする人は、傾向として、大きく分けて2パターンに分けられます。
1つ目のパターンは、元々現役の受験生の時に医学部を志望だったがその時は合格には届かず、他学部を経て社会人になったけど、やはり医者になる夢を諦めきれなかった医学部再受験生です。
2つ目のパターンは、親が医者で、実家が病院を経営していて、元々医者には興味がなかったものの、親の引退を機に後を継がなければならなくなった医学部再受験生です。
どちらにせよ、医学部再受験となると、どうしても年齢がネックになってしまい、現役生と比べると、医者として働ける時間も短くなってしまうため、医学部再受験生に対して寛容でない大学が増えてきているのも現状です。
事実、30代以上の年齢で医学部再受験をするとなると、合格率はグッと下がり、35歳を過ぎると合格が更に難しくなると言われているのが現実です。
また、30代が医学部再受験をし、たとえ合格点に達していても面接で落とされてしまうことさえもあります。
しかし、厳しく険しい道のりですが、結論から言うと、30代を過ぎても医学部再受験をし、医者になることは可能です。
医学部再受験に寛容な大学もありますし、実際に30代で医学部再受験し、医者になった人もたくさんおり、文系出身の人が医学部再受験を経て医者になったと言う例も多くあります。
また、医学部再受験生は一度社会に出ているので看護師や薬剤師の資格といった現役生には持ち得ていない貴重な知識や経験があったり、コミュニケーション能力やビジネスマナーに長けていたりといった武器を持っています。
あとは、適切な志望校決定と日々の努力があれば、医学部再受験の成功も現実味を帯びてきます。
医学部合格者の最高年齢は?
医学部再受験生の中には、30代や40代と現役生からすると10歳以上の人もいます。
そんな年長者の医学部再受験生が気になるのは、何歳まで合格できるのかということではないでしょうか。
ネット上の医学部再受験生ブログなどを確認してもらうと分かる通り、30代や40代で合格している人も少数ですが存在しています。
年齢に関係なく純粋な学力勝負を実施している医学部ほど、合格者の最高年齢は上がる傾向にあります。
以前、医師国家試験で62歳の男性が合格したと話題になったことがありますが、ストレートで合格したとして逆算すると医学部に合格したのはなんと56歳となります。
これは、多くの医学部再受験生にとって励みとなる情報かと思います。
ただし、群馬大学の50代主婦の不合格問題など、年齢厳しい大学もあるので志望校の選定が重要になってきます。
社会人の医学部再受験で両立か専念かの判断は慎重に
社会人で医学部再受験を目指す人には2パターンいると思います。
1つは、現在の仕事を続けながら医学部合格を目指すパターンと、仕事を辞めて医学部受験に専念するパターンです。
どちらが良いとは言い切れず、それぞれメリットおよびデメリットがあり一長一短です。
仕事と両立しながら医学部を目指すということは、平日の夜間と週末の時間しか勉強時間が確保できません。
医学部予備校に通うライバルは1日12時間学習も普通の状態であり、やはり勉強量が不足してしまいがちです。
ただし、失敗する人が多い医学部再受験で最悪の結果になったとしても、現在の仕事一本にまた戻ることができます。
いっぽう、現在のキャリアを捨てて医学部受験に専念する場合は、他のライバルと同じように圧倒的な学習量を確保できます。
しかし、貯金がある程度ないと、金銭的な面で親からのサポートが必要なので家族の理解が必要になってくるでしょう。
また、医学部再受験に失敗した場合は、受験勉強に費やした期間が履歴書では空白になってしまうため、次に就職する際は前職よりも報酬や待遇面で劣る、あるいは再就職が困難になることを覚悟した方が良いかもしれません。
働きながら医学部合格を実現した人もおり、不合格のリスクも考えると専念したほうが良いとは限りません。
重要なのは、学習面だけでなく精神面でのサポートも受けられ、社会人の合格実績が豊富な医学部予備校に通うことが重要となります。
両立するメリット | 専念するメリット |
---|---|
再受験に失敗しても仕事がある | 豊富な学習時間が確保可能 |
専念よりも経済的余裕がある | 退路を断つことで勉強への集中力が上がる |
両立するデメリット | 専念するデメリット |
学習時間の確保が困難 | 不合格の場合は再就職が難しい |
仕事と勉強の両方が中途半場になる可能性あり | 収入が途絶える分生活が厳しくなる |
学士編入試験はどうなの?
社会人経験のある医学部再受験生の場合、別大学の別学部を卒業している人が多いです。
他大学を卒業したことのある医学部再受験生の場合は、学士編入というかたちで医学部に入学するルートもあります。
学士編入とは、他学部を卒業した人や学士号取得見込みの人が、医学部医学科の2、3年次に編入できるといった制度で、優秀な医学部再受験生を集めようと大学側が募集しています。
国公立では名古屋大学や北海道大学といった旧帝国大学をはじめ、弘前大学や琉球大学など全国の多くの国公立大学で実施されています。
私立では特に東海大学医学部が有名で、15名の編入生を迎えてます。
学士編入試験は大学により異なってきますが、学科試験、小論文、面接を採用している大学が多いようです。
また、文系出身の医学部再受験生に門戸を開いている大学もあれば、応募対象を理系出身としている大学もあるので事前に確認しておく必要があります。
この学士編入制度には大きなメリットがあります。
学費や生活費を節約できる
学士編入によって6年間医学部に通わなくて済むということは、その分の学費も節約できることになります。
特に私立大学医学部の場合は学費が高額で、1年支払いがなくなるだけでも非常に経済的な影響は大きいです。
また、単純に下宿代や定期券代なども節約することが可能であり、金銭面で不安を抱える医学部再受験生にはかなり良心的です。
国公立の併願受験が可能
大学受験の一般試験では国公立医学部は前期後期でしか受験ができませんが、編入試験の場合は各大学ごとの日程で行われるため、その日程さえかぶらなければ併願受験が可能になります。
国公立医学部の併願が可能となれば当然合格の可能性も上がるので、医学部再受験生にとってはおすすめです。
数学がない大学もある
医学部再受験生にとって合格の山場となるのが数学ですよね。
現役生にとっても難関といわれる医学部の数学ですから、記憶力・理解力の落ちた医学部再受験生にはさらに難しく感じるでしょう。
ところが医学部の学士編入試験は英語と生命科学で科目構成されている大学が多いため、数学の対策が必要ありません。
そのため数学という一番の関所をなくすことができるだけでなく、社会人経験のある医学部再受験生の得意な英語で勝負をかけることができることは魅力です。
学士編入試験の注意点
学士編入試験のメリットを見てみると、医学部再受験よりも魅力的に思いますが、実際はそこまで甘い試験ではありません。
まず、学士編入試験は一般選抜と比較して募集定員が少ないことです。
また、学士編入試験は社会人同士の競争となるため、学力だけでなく経歴などでもアピールする必要があります。
以上のようなデメリットな部分を考慮に入れて学士編入と一般選抜のどちらで合格を目指すか検討することをおすすめします。
医学部再受験生は海外大学も1つの選択肢
国内の医学部受験は周知の通り非常に難易度が高く、しかも年齢に寛容ではない現役・1浪生を好む大学もでてきています。
そこで、最近は海外の医学部留学を目指す再受験生も増加しています。
海外の医学部とは言っても日本以上に難しい国ももちろんありますが、日本より入学難易度が比較的容易な国があるのも事実です。
しかも、年齢についても20代までならそこまで入学審査が厳しくないケースも多いので、医学部再受験生は医学部を目指す際に海外留学も検討してみることをおすすめします。
海外の医学部を卒業した場合、条件をクリアできれば日本の医師国家試験の受験資格も得られるので、帰国後に医師として活躍することも可能です。
もちろん、入学後は主に英語での授業となり、母国語で勉強するのも大変な医学を外国語で勉強することになるので学生生活は非常に大変です。
それでも、医学部に入学できれば医師へのスタートラインには立てるので、日本で医学部再受験を繰り返して夢を諦めるよりも可能性は秘めています。
ハンガリーとチェコが医学部留学で人気
医学部留学の場合、近年日本人に人気なのがハンガリー国立大学とチェコ国立大学の医学部医学科です。
両国は東欧にあるメジャーな国ではありませんが、多くの日本人が医学部を目指す場合に候補としています。
教育レベルや治安、文化といった様々な要因があるとは思いますが、日本に事務局を設置し沢山の情報を日本語で得ることができるからでしょう。
ハンガリー国立大学およびチェコ国立大学は事務局を東京の新宿に設置し、「医学部進学プログラム」を提供しています。
日本語でサポートが受けられるので、出願から渡航までの準備もスムーズに進められるのが魅力的です。
また、両国は高度な医学教育を実施しているのはもちろん、学費が割安なうえ生活費も安いので費用も私立医学部に比べて安かったりします。
特にハンガリー国立大学医学部は、2006年から日本人留学生の受け入れてきた実績があり、学習支援や進路などのサポート体制が整っています。
まとめ
医学部受験ブームが年々過熱していっており、それは現役生・浪人生の医学部志向の増加にとどまらず医学部再受験生でも同じです。
医学部自体難関ですが、医学部再受験では受験勉強から時間が空いてしまっているので、よりいばらの道です。
そして医学部再受験に寛容な大学か不寛容な大学かという話題が出るように、医学部で医学部再受験生というのはやや否定的な意見もあったことは事実。
かつては医学部再受験生が合格するのは、本当に難しかったといえます。
しかし幸いなことに2018年に東京医大の不適切入試が明らかになったことで、一時的かもしれませんが医学部再受験生に対しての年齢差別はないと考えてもいいでしょう。
しかし、現状の緩さがいつまで続くかは不透明ですし、やはり医学部の体制上は若くてエネルギッシュな人材を求めていることから、公募推薦や特別選抜では年齢制限が設ける大学も増えていくと予想されます。
入試での差別ではなく募集での制限なので、指摘することもできず、医学部再受験生にとってはより厳しい状況になります。
そのため、医学部再受験生は一刻も早く医学部を合格することを目標に、国公立・私立関わらず、様々な大学を受験しチャンスを多くするといいでしょう。
また、最短距離で合格したい場合は医学部再受験の合格実績が豊富な医学部専門予備校に頼ることが大切です。
専門予備校では医学部再受験生の合格に向けた指導と対策・プランニングや、受験に関する数多くの情報があるので、一度体験授業だけでも行ってみてはどうでしょうか。