医学部受験といえば国内でも最難関と言われ、2浪以上も決して珍しくありません。
もちろん、医学部再受験自体も少なくなく、大学によっては学年の2割以上を占めることも。
そんな医学部再受験ですが、どんな人が決意して、どんな理由で挑んでいるのでしょうか。
この記事では、日頃なかなか知ることのできない、医学部再受験の同志の思いをご紹介していきます。
合格に重要な面接試験の対策としても活用できるので、ぜひ参考にしてみてください。
医学部受験生の種類
まず、医学部受験生には、多くの人がいるのをご存知でしょうか。
医学部の受験生は、一般の受験生との違いとして年齢や経歴などの背景が多層にわたるという特徴があります。
例えば、現役高校生である現役生や高卒1、2年の浪人生はもちろん、医学部では高卒3年以上の多浪生決して珍しくはありません。
さらには、本記事でも対象としている「医学部再受験生」の中にも複数の背景の人がいます。
現役大学生で他学部からの転部を考えている仮面浪人生、一度大学を卒業して卒後から医学部を狙っている社会人未経験組、そして一度就職をした上で医学部を目指している社会人経験組などです。
もちろんこの他にも、家族がいる人いない人、医療関係に携わった経験・研究の経験、理系か文系かなどさまざまな背景の人がいるものです。
冒頭でこのようなお話をしたのは、面接において自分を知ることがとても重要になるから。
たくさんいる受験生の層の中で、面接という自己アピールの場で光るためには「いかに自分を知っているか」「自分と向き合い切れているか」が重要になります。
医学部再受験ともなるとその必要性は顕著で、志望理由や医師を志す理由など、ありきたりの質問に対しても熱意のある回答をできなければ合格は難しいと言えます。
医学部再受験は面接が命
面接を課さない医学部はない
全国82大学ある医学部のうち、これまで実は面接を課さない大学もありました。
しかし、2020年に九州大学が面接試験を課したことを最後に、日本で面接をせずに入学できる医学部は存在しません。
医学部が面接を課す理由として、医学部の人気が高いこと以外に、医療が人の人生に大きく関わることなどがあり、医療人として医療チームのリーダーとして適性があるかを見られることになります。
これは医学部再受験であっても同じで、むしろ医学部再受験の場合はさらに突っ込んだ質問をされることも珍しくありません。
面接試験を2回以上課されることも
医学部再受験生が面接の内容に敏感になり、面接対策にナイーブになることはよくあるようですが、これは当然の反応ともいえます。
通常、国公立大学・私立大学ともに、面接試験の所要時間は平均して5〜10分程度。
面接試験に力を入れている大学でも、長くて15〜20分ほどです。
しかし、特に私立大学に多い傾向にありますが、医学部再受験の場合は通常の面接に加えて追加で面接が行われることも。
これについて、「追加面接をとられた場合は必ず落ちる」というウワサを耳にしますが、これは全くのデマ。
面接を課す側の気持ちになれば、もっと話を聞く必要がある・もっと話を聞きたいという受験生に追加面接を課すのは当然の流れ。
むしろ、受験生としては追加面接があることを「アピールの場が増える」として喜ぶべきあるのです。
それでも不安になってしまうの気持ちも分かるので、この後、面接で好印象を与えられる秘訣をいくつかご紹介します。
面接は自己アピールの場
医学部の面接評価方法は大学により様々で、一概にこうすれば高得点という秘訣はなかなかありません。
しかし、当然ながら「不利になることはしない」はどこを医学部再受験で受けようとしても共通して言えること。
入試全体として面接が持つ配点は決して高くはありませんが、たった1点でも合否が大きく分かれる世界です。
志望理由、これまでの経歴などはもちろん、合格してからの学生生活や卒業後の展望など多くのことを想定して回答できるように万全の準備をおすすめします。
医学部再受験の志望理由
それではここから、医学部再受験生が医師を志す理由について、メジャーなものを3つご紹介します。
ほとんどの人がこの中のどれかの理由に当てはまるはず。
次の項ではそれぞれの場合に合わせた面接でのアドバイスをしていますので、ぜひご覧ください。
実は医師になりたかった
医学部再受験の理由として最も多く聞くのが、この「昔から夢だった」という理由。
中には、親が医師でありながら様々な理由で一度は別の進路に進み、やはりと思いとどまって医学部再受験を目指す人も少なくありません。
確かに、小学生など子どもが憧れる職業ランキングなどでも上位にくるものとして医師は有名な職業ですが、中学高校と進学するにつれて学力を理由にその難易度がぐんと身に染みてわかって来るものです。
学生時代は到底無理だと思っていたが、大人になって、本気で努力すれば学力も上げられるのではと挑戦する人が多いようです。
事実、努力さえできれば学力は必ず上がると筆者も考えています。それでも医学部再受験のリタイアが後を絶たない理由は、様々な理由でその努力の「継続」ができなくなるからでしょう。
また、「前からなりたかった」という理由の人の中には、人によってその本気度に差がみられるのも特徴の一つ。
もしもあなたの医学部再受験の理由がこの通りであれば、今一度その覚悟を確認しておくことを強くおすすめします。
医療に触れる機会があり、感銘を受けた
医学部再受験の理由として次に多く聞かれるのが、この理由。
家族や身内が病気になった、救急医療を目の当たりにした、難病、死別。さまざまな理由で医療に深く関わることになり、それが医療を志すきっかけになったパターンです。
テレビなどで取り上げられるだけでも話題を呼び、注目を集める医療の存在ですが、それを実に経験すると強い印象から職業としての魅力を感じるようになります。
この場合、感じたきっかけは医学部再受験生個々のそれぞれ特有のものとなり、志望理由のエピソードとしては特徴的なため、面接官に強い印象を与えるというメリットも兼ね備えています。
同業異種の職場で医師のやりがいを感じた
もう一つ、医学部再受験の理由として多いのが、元看護師・元薬剤師、元検査技師などといったパターン。
もちろん大学や専門学校の途中で志望するようになる人もいますが、特に一度医療界に入り、医療チームの1人として仕事をしていく中で、医師への志望理由が芽生える人が多い印象にあります。
実際のところ、医療チームでは各職種間に優劣はないものの、具体的な治療方針や優先順位など裁量権が大きいのは医師であることは間違いありません。
そのような環境の中で、自分の職種では物足りない、より直接的に患者の治療に携わりたいと考えて医学部再受験を考えるようになるようです。
再受験の面接対策〜理由別回答アドバイス〜
ここでは、前項で紹介した医学部再受験での主な理由3つに対して、それぞれの動機に合わせたアドバイスをお届けします。
ずっとなりたかった
時折、医師への熱望をこの言葉に乗せて熱く伝えようとする医学部再受験生がいますが、これには注意が必要。
面接官によっては、「子どもの夢追い」という印象を受けることもあるそうです。
実際、この理由は現役生や浪人生が話す内容に類似することが多く、医学部再受験生としてはあまり深い印象を与えられないかもしれません。
医学部再受験生としていい印象を残すためにも、どんな葛藤があったか、なぜ医師なのか、なぜ今なのかというより具体的な部分に焦点を当てて志望理由を述べると良いでしょう。
小学校の頃から憧れていて・・・では高校生でもいえてしまうのです。
医学部再受験として社会人経験を得て感じたこと、思ったことを盛り込んで、「自分自身の論理的な思考」で医師を志望していることを述べられるようにしましょう。
感銘を受けた
このタイプの志望理由では、質問に対してコンパクトにエピソードを伝える工夫が必要です。
面接試験は会話をするように心がけるのが命。
いついつにこんなことがあって、こうなってこうなって・・・と長々と話していたら、面接官は飽き飽きする上に、時間のコントロールができないなど医師としてふさわしくないとまで思われる可能性もあります。
医学部再受験では、感銘を受けたエピソードを端的に述べ、その上で「感じたこと」「考えたこと」を自分のアピールとして述べることが重要になります。
同業異種からの志望
この理由のタイプの医学部再受験生は、より具体的な理由が述べられなければいけません。
というのも、医学部受験では面接官のほとんどが現役の医師。
面接官自身もあなたと同じ職種と現役で関わっているだけに、なぜその職業を捨てて医師を志すのか、その理由に非常に興味深々になるようです。
医師にできて自分にできないこと、ばかりに目が行きがちですが、事実「医師にできなくてその職業にできること」もあります。
両者の良し悪しを踏まえた上で、個人としてどんな理由で医師を選んだのか、論理を立てて伝えることができれば、医学部再受験生としては十分に好印象を与えることになるでしょう。