
国立医学部は医学部の中でも非常に人気で、その県の中で最も偏差値が高いことがほとんどです。
学費が安く、地元での就職もしやすいことがその要因ではないかと考えられます。
しかしながら、その人気の反面医学部再受験生に対して厳しい大学も少なからず存在します。
今回は旧帝国大学についで偏差値の高い広島大学に焦点を当てて、医学部再受験生向けに寛容度、試験対策方法などを紹介していきたいと思います。
広島大学医学部医学科の特徴・カリキュラム

医学部医学科の特徴
まずは広島大学医学部の特徴ですが、まず最初に挙がるのがなんといっても立地のよさだと思います。
広島駅からのアクセスも良く、非常に便利で充実した学生生活を送ることができるのではないかと思います。
広島大学附属病院も近くにあるので、高学年になってから始まる臨床実習の時も便利ですね。
また、広島大学は歴史が長いため関連病院が多いという特徴があります。
広島エリアのみにとどまらず、愛媛、北九州にも関連病院を持っているため中国地方での就職を考えている医学部再受験生に非常におすすめの大学となっています。
日本にとどまらず、広島大学は海外の大学とも国際交流協定を結んでいるため、幅広い進路があります。
具体的には4年生で行われる「医学研究実習」ではアメリカやカナダで研究を行うことができるほか、6年次では海外で臨床実習を行うことができます。
広島大学は臨床、研究どちらの面でも国内トップクラスなのでやりたいことが決まっていない医学部再受験生にも合っていると思います。
学業成績が優秀な学生には奨学金も配布しているため、海外研修へのバックアップ体制は非常に充実していますね。
6年間のカリキュラム
1年次では主に基礎科目を学びます。
4~5月には上級生と交流することができるイベントもあるので、医学部再受験生も縦のつながりを作りやすいです。
1年生のうちから研究、臨床の最前線に行く授業もあり、医師としての自覚を持ちやすいです。
2、3年次では本格的な医学の勉強を行います。
解剖実習や試験などが多く、大変な学年です。
チュートリアルという少人数でのグループワークもあるので医学部再受験生はそういった場でリーダーシップをとることができるといいですね。
4年次前期まで授業を行った後、4年次後期から6年次前期までは臨床実習を行います。
実際の患者さんを相手に臨床の場に参加するため、授業で習った知識や医療者としての自覚が試される場であります。
6年次後期からは国家試験に向けての勉強を行います。
広島大学の国家試験合格率は年々高くなってきており、とても良いカリキュラムが組まれていることが分かります。
広島大学医学部の基本情報
キャンパス | 霞キャンパス |
---|---|
住所 | 〒734-8553 広島市南区霞一丁目2番3号 |
偏差値 | 65(河合) |
学費 | 約350万円 |
男女比率 | 69.7:30.3 |
医学科公式HP | https://www.hiroshima-u.ac.jp/med |
医学部再受験生への寛容度

ここからは広島大学の医学部再受験生への寛容度について紹介していきたいと思います。
まずは文部科学省が発表した、広島大学の2022年度の入学者と年齢の表を紹介したいと思います。
18歳 | 19歳 | 20歳 | 21歳 | 22歳 以上 |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 40 | 21 | 13 | 1 | 3 | 78 |
女性 | 31 | 9 | 0 | 0 | 0 | 40 |
こちらの表で22歳以上の受験生を医学部再受験生とすると、医学部再受験生の合格数は3人となっています。
この年だけ見ると少なく見えますが、2021年には10人、2020年には7人の医学部再受験生が合格しています。
国立医学部の中では広島大学は医学部再受験生の合格数は平均的です。
また、2020年に文部科学省が公開した資料によりますと、平成30年度において医学部再受験生の志願者数は54人、合格者は5人となっており、合格率は10%ほどとなっています。
そのほかの年も合格率は10%前後となっており、他の大学よりはやや少なくなっています。
次の項では医学部再受験生に対する面接の内容なども合わせつつ、詳しく紹介していきたいと思います。
医学部再受験生に対する面接内容
医学部再受験生にとって非常に気になるのが面接の内容です。
実際の受験生による口コミによると、広島大学の面接はとても優しい雰囲気で進むようです。
時間は5分ほどで、受験生1人に対して3人の教官が面接を行うようです。
難しい質問などはされず、コミュニケーション能力を見ているようですね。
時間が短い分、年齢の面で不利な医学部再受験生はテキパキと応答する必要がありそうです。
ですが、教授によって個人差はあると思うので注意しておきましょう。
なお、広島大学の面接では点数化はされず、合格か不合格かの2択で判定されるようです。
そういった意味では医学部再受験生にとって、点数操作の不安などがないため安心ですね。
医学部再受験生に不寛容な大学は面接の点数を厳しめに付けていることがほとんどなので、広島大学ではその心配はなさそうです。
医学部再受験生の合格率が低いのは広島大学のレベルが非常に高いため、4浪以上の学生が22歳以上の学生に含まれているからなのかもしれません。
医学部再受験合格に必要な試験勉強法

それではここから、科目ごとに医学部再受験生向けに広島大学医学部の勉強法を紹介していきたいと思います。
英語
まずは広島大学の英語の試験について解説したいと思います。
大問5問から構成されていたのですが、最新の過去問では大問4問構成に変更されていました。
出題の傾向としては一般的な長文問題のほか、英語や日本語で要約させる問題が多く出題されています。
要約の文字数は年によってさまざまで、日本語で250文字とかなり長い要約問題が出題されることもあれば30文字と要点のみを絞ってうまくまとめないと点数が取れないような出題もあります。
長文問題の中でも日本語で説明させる問題もあるため、広島大学を受ける上で説明問題の対策は必須といえるでしょう。
医学部再受験生の対策としてはまず読解力を高めるようにしましょう。
ただ問題文を読むのだけではなく、筆者が伝えたいことは何か?という点に注意するとよいと思います。
そののちに要約問題に挑戦するとよいでしょう。
自分ひとりですとなかなか厳しく採点することは難しいので、予備校に通っている医学部再受験生は講師の先生に見てもらうといいでしょう。
数学
次に広島大学の数学についてです。
広島大学の数学は大問5問構成で、時間は150分となっています。
ほぼ毎年同じ形式となっているので2023年も同じだと予想されます。
模試などでよくみられるような標準的な出題形式となっており、しっかりと誘導に乗って問題を解くことが求められています。
難易度自体はそこまで高くはないのですが、小問の数が多く、また計算量が求められるような問題も時折出題されるため、時間が足りなくなってしまうこともあるかもしれません。
医学部再受験生の対策方法としては、まずは全範囲の典型問題を完璧に解けるようにしておきましょう。
広島大学では出題の分野に偏りがないため、全分野の標準レベルの問題は解けるようになっておく必要があります。
その上で時間を意識して素早く問題を処理できるようになるといいでしょう。
広島大学は数学で差がつきやすいので、特に力を入れて対策するようにしましょう。
理科
物理
まずは物理から解説していきたいと思います。
広島大学では理科は2科目120分で行われるので時間配分を意識して解くようにしましょう。
出題形式としては大問3題構成であることが多いのですが、令和2年度では大問4問構成となっていました。
出題分野としては力学と電磁気が頻出で、残りは熱や波動が出題されていることが多いです。
どの問題も難易度としてはそこまで高くはなく、高得点が取れる科目であると思います。
逆に言えば合格者は軒並み高得点を取ってくるということなので、物理で点を落としてしまうのは非常に致命的となってしまいます。
物理が苦手な医学部再受験生は注意しましょう。
化学
次に広島大学の化学です。
化学は大問4問構成となっているのですが、時間に対して設問の量が多く、時間が足りなくなりそうです。
物理のところでも書いたように広島大学では理科は2科目合同で120分となっているため、化学から解き始めているとついつい時間を浪費してしまい、解けるはずの問題にも手が付けられなかった...ということも起こりえます。
分野としては理論2問、無機2問、有機2問であることが多いようです。
一度自分で過去問を解いてみて、どのくらいの時間で解けそうか、化学はあとまわしにした方かよいかなど方針を決めておくとよいでしょう。
テストの経験が浅い医学部再受験生の場合、時間配分の感覚などが不慣れなことも多いのでしっかり演習量は確保しておきましょう。
生物
最後に広島大学の生物についてです。
こちらは大問5問構成となっています。
生体や進化、系統といったように医学部の単科大学ではなかなか見られない分野からも出題されているので、私立を併願する医学部再受験生は注意です。
論述問題はそこまで多くはないものの、図やグラフから読み取るような問題が多く、こちらも時間が足りなくなってしまうことが予想されます。
問題のレベルがそこまで高くはないだけに解ききれないとかなり痛い失点になってしまうでしょう。
化学・生物選択の医学部再受験生の場合、時間を意識した勉強をすること、ケアレスミスをなくすことを特に意識するようにしましょう。
広島大学の入試情報・選抜概要(2023年度)

次に広島大学の入試情報についてみていきましょう。
広島大学にも推薦や国際バカロレア入試の制度はあるのですが、医学部再受験生の多くは対象外となると考えられるので、前期日程について紹介していこうと思います。
まずは共通テストの配点についてです。
前期日程
英語 | 国語 | 数学 | 理科 | 地歴公民 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
配点 | 200 | 200 | 200 | 200 | 100 | 900 |
特に圧縮配点などはされず、共通テストの配点がそのまま適用される形になっています。
次に二次試験の配点の解説に移るのですが、広島大学の配点はかなり特徴的になっています。
A理科 重視 |
英語 | 数学 | 理科 | 合計 |
---|---|---|---|---|
配点 | 300 | 300 | 1200 | 1800 |
A英数 重視 |
英語 | 数学 | 理科 | 合計 |
---|---|---|---|---|
配点 | 800 | 800 | 200 | 1800 |
B配点 | 英語 | 数学 | 理科 | 合計 |
---|---|---|---|---|
配点 | 600 | 600 | 600 | 1800 |
このように、広島大学の二次試験ではそれぞれの科目で配点の形式が3種類用意されています。
配点の形式は医学部再受験生が自分で選ぶことができるものではないため、意識し過ぎる必要はないのですが。
かなり特徴的ですね。
全体としてみると共通テスト900点、二次試験1800点という二次試験に比重が重く置かれた試験形式となっています。
配点を見ると医学部再受験生はついつい二次試験対策ばかり行ってしまいがちですが、国立医学部志望であるなら共通テストの点数はかなり重要です。
また、意外と共通テストの点数で合否が分かれることも十分にあるため、自分の学力や特性と合わせて計画的に勉強を進めるといいと思います。
さらに、広島大学ではたとえ合格点に達していたとしても、いずれかの科目の点数が合格者平均の60%を下回っている場合、不合格となってしまいます。
一番怖いのが時間を取られる理科で一方の科目しか解き終わらず、もう一方の科目にまったく手を付けることができないというパターンですね。
医学部再受験生は全ての科目をまんべんなく勉強しておくようにしましょう。
広島大学の入試結果(2022年度)

次に広島大学の入試結果について紹介していきたいと思います。
募集人数 | 90 |
---|---|
受験人数 | 563 |
合格者 | 96 |
2022年度の倍率は5.86倍となっていました。2021年度は4.5倍となっており、ほぼ毎年4~5倍の間で推移しています。
広島大学の入試では難しい問題を解くことよりも典型問題をスピーディーに処理できる能力が求められているため、着実に学力を積み重ねていけば医学部再受験生にも十分チャンスはあると思います。
まとめ
今回は広島大学の医学部再受験事情、そして医学部再受験生向けに勉強方法を紹介していきました。
広島大学は医学部再受験生の入学者こそ少ないものの、面接での点数化がされないため医学部再受験生に決して不寛容というわけではないのかもしれません。
また、肝心の試験対策の方は日頃からスピーディーに問題を処理すること、ミスをしないことを意識していれば本番でも高得点が取れるような内容だと思います。